パウリンの娘

パウリンの娘《第16章8》

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それから何分待っただろうか?
絶対に部屋に来ると言う確信めいたものがあったので、ゼロは今か今かと待ち人の訪れを待った。

「ゼロ。あの、お話があるのだけど・・・・」

やっと来た!
ノックの音と共に待ちかねていた客人の声にゼロは快く部屋へ招き入れた。

「おはよう。サプライズは気に入ってくれようだな」

目を細め、嬉しそうにそう告げた。

「あの・・・・ホントにこれ、頂いて良いのかしら!?」

ローレライの左手の薬指には昨夜ゼロから送られた大粒のアメジストの周りに小粒のダイヤが散りばめられた花を思わせる可愛いデザインの指輪が輝いていた。

「お前の為に取りに戻った。代々我が家に受け継がれている指輪だ。何か私に対して含む所があるようだが、それが婚約の証としてお前に対する私の気持ちと受け取ってくれて構わん」

貴族の家に代々伝わるエンゲージリングには特別な意味を持つことをローレライは知っていた。

では、昨夜はこれを取に行ってくれたの?
仕事では無くて、私の為だったの?
ローレライは胸の高鳴りを押さえられなかった。

「とっても嬉しい。私、大切にするから!」

ローレライは満面の笑顔でそう告げると、ゼロの首にしがみ付き頬に口づけ、耳元で小さく“ありがとう”と囁いた。

不意を突かれたゼロは一瞬固まった。

「・・・・お前、何して!・・・・」

ハッとして言葉を口にした途端

「先に食堂で待っているわ」

そう告げるとローレライは真っ赤になりながら扉を開けると嬉しそうに一目散に廊下を駆けて行った。

「おい!」

ゼロは呆然とその後ろ姿を見送った。

夕べ戻って来て、ローレライの部屋で寛ぎ、食べ終わったら渡そうと思いながらスコーンを口にした。
それが美味しいと褒めた事で嬉しすぎて興奮して寝むれないと言い出した。
今は渡さない方が良いと思ったが、切実な想いで馬を走らせ屋敷へ取りに戻った大切な物だ。
直ぐに渡せないのも口惜しかった。
愛くるしい寝顔を目の当たりにすると無意識に左手を取っていた。
少しでも早く渡して正式な自分の婚約者だと周囲にも認めて貰いたい気持ちも勿論あったが不意をついて、ローレライがどのような反応をするのか見てみたいと言う悪戯心に駆られ、そのまま懐の小箱を取り出した。
どの様な対象として自分が位置づけられているかは分らないが、慕われているのは確かだと思う。
結婚の約束を交わしたのだし指輪を贈られて気分を害する事だけは無いだろう。
寝ている間に指輪をそっと渡し本心を告げた。
けれどもそれは心の何処かで不安が付きまとい無意識に取らせた行動だったのかもしれない。
それが、まさかこのような反応にローレライが出るとは夢々思っていなかった。

「・・・・マズイ・・・・嬉しすぎて熱出しそうだ・・・・」

廊下で佇み、一人頭を抱えた。


「おい。そろそろ行かないか?」

朝食に向かうシドと鉢合わせた。

「ああ」

冷静を装いそのまま行こうとするとシドがそれを遮った。

「お前の婚約者は誘わなくても良いのか?」

ゼロは一瞬ドキッとして、狼狽えそうになった。

「いや、先に行った」

無意識に綻ぶ頬を抑え込むのに必死だった。

シドはゼロの顔を覗き込み、おや!?と思った。

「何だ!? お前いつもと様子が違うと思ったら熱でもあるのか? 昨夜無理しすぎたか・・・・。それにしても珍しいなぁ。あれ位でお前が熱かぁ?」

「大した事はない。気にするな。ほら、行くぞ」

憮然とした態度を取るのに精一杯だった。
自分から仕掛けた事で、こうも墓穴を掘る結果になるとは夢にも思っていなかったゼロだった。

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~ Comment ~

NoTitle 

いや~ん!もう~!顔がにやける~v-238
でもあと一歩が足らんのよ!も~~~(笑)

はのん 様 

私も書いてて顔がにやけてました^^
そうそう、後一歩ね。分かってますけどね(笑)
でも、きっとゼロもホントは同じ気持ちだから(爆笑)

NoTitle 

よしっ(^^) (← なにが「よし」なんだ?(笑))

それにしても愛し合うふたりが幸せになるというのはいいですなあ(^^)

ポール・ブリッツ 様 

とりあえず、「よし」ですよね^^

不器用な二人ですが、これでかなり近付けたかな?と言う場面ですね。
中々根本的にわだかまりが拭いきれないじれじれの二人ですが、ここは幸せそうで私も何度読み返してもホッコリできる場面です^^

いつも有り難うございます^^

NoTitle 

・・・・うむ。幸せなのは良いことですし、初々しいのも良いことですね。こういうのは読んでいて楽しいですね。結構ここまで長かったですからね。。。

LandM様 

不器用で根本的な解決には至っていませんが、 ここはどうしても書きたい場面でした。
中々言葉にできないじれじれな二人ですが、今は幸せを感じて貰えて良かったなと思います^^

いつも有り難うございます^^
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