パウリンの娘

パウリンの娘《第17章1》

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王都進行への準備は着々と進んでいた。
応接室で誓いを立てた日から3日後にはフリードルは戻り、それから支部移転の準備に取り掛かっていた。

ハビロードからは重要な報告がなされていた。
側近を外れていたサイナーは神殿を出て既に隠居生活を送っていたのだ。
現在67歳で高齢ではあるが健康に問題もない。
神官長の側近にまで上り詰めた男が健康に問題も無く隠居生活を送るなど普通は考えられない事だった。
病を押しても神殿に残りたいとそのまま余生を送る者も多いのだ。

「サイナー殿は若い頃に一度結婚歴があるようです。下働きの頃に店に出入りしていたサイナー殿の事を店主が覚えていました。当時店主の息子の姿を見て自分にも同じ位の息子がいると話していたそうです。妻を流行病で亡くし両親に預けていると言っていたそうです」

45年以上前に何かあったか?
母ならば何か知っているかもしれないと手紙を書いて確認した。
子供の頃に伝染病が流行し、多くの民衆が当時命を落としたらしい。
母の従姉妹もその病で亡くなっており、その記憶は鮮明だった。
その後ブレインの調査で、当時伝染病隔離病棟が存在していた事が明らかになった。
王宮の内部に残る仲間に古い書物を探って貰い、伝染病の隔離病棟入所者リストにアニーサ・ボーデン・サイナーと言う者の名を見つけた。
夫の欄にはウィレム・サイナーとあり、間違えなくそれはゼロの知る神官長の側近であったサイナーの名だった。
おそらくサイナーは妻を看取った後、幼い息子を両親に託して入神したに違いない。
失くした妻の冥福と息子の成長を祈っての入神だったのだろうか?
入所者リストにその後息子らしき者の名を見つける事は出来ず、伝染病は免れていたようだった。
無事成長していれば主人の話によるとおそらく息子は現在50前だ。
そして、その後の調査で何より驚いたのは30年前の入神者リストにアンデルド・サイナー17歳と言う若者の名を見つけた事だった。


「おい、これって・・・・」

「もしかすると、もしかするかもな」

シドとゼロがお互いを見合った。

時期的にアンデルド・サイナーと言う若者が入神して1年余りの頃と、皇太后が婚礼前の清めの儀式と称して神殿に通うようになった頃が重なる。
これは偶然の出来事か!?
健康なサイナーが神殿を去ったのは息子を高い地位に据える為では無かったのか!?
今のサイナーからは何一つ聞き出せず、結局は引き続き過去を探って行くしか解決への糸口は見出せていない。
サイナーの息子を育てた両親は既に他界しており、息子の事について知る者は今となっては極わずかだろう。
当時息子が祖父母と暮らしていた家は空き家となって久しく、その周囲の民家も家が残されているだけで住民は存在せず廃墟となっていた。
ここまで来てまたも、掴めないのか!
しかし、諦める訳にはいかなかった。

サイナーの妻の出身地でも分かればきっと状況は変わってくる。
そこから、活路を見出せないかとハビロードとブレインは引き続き調査を続けていた。

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