パウリンの娘

パウリンの娘《第17章2》

 ←パウリンの娘《第17章1》 →主と従者 《パウリンの娘番外編》
サイナーの調査はその後も難航し、妻の出身地のについてもあまり良い結果を得られていなかった。

サイナーの妻であるアニーサ・ホーデン・サイナー。
おそらく妻の旧姓であろうホーデンと言う名の名字は殊の外多く、広範囲に上る。
名家なら直ぐに調べは付くであろうが、そうでなくても40年前の事など覚えている者も少ないだろう。
途方もない調査に皆が活き詰まった時だった。

「お話があるのだけれど、良いかしら」

部屋を訪れたのはローレライだった。
ゼロが扉を開けると手のひらにパウリンを乗せてローレライが立っていた。

「何か見えたのか!?」

「何か良く分からない風景が映し出されているのだけど、それが多分今調べている事と関係していると思うの」

ゼロは急ぎ部屋へ招き入れるとローレライを座らせた。

「それはどの様な場所だ!?」

「何か小さな村の一角と思うのだけれど、今映っている人たち、お婆様とその周りの人達、3人ほど、あの新しい側近の方と同じ瞳の色と髪の色なの・・・・」

「何だって!? 見せてみろ!!」

必死に覘き込もうとするが、勿論ゼロに見える筈もない。
ゼロにはパウリンがぼんやり光っているのが見えるだけだった。

“ああ、なんてもどかしいんだ!!”

「その場所の特徴的な物を言えるか? 描けるなら絵にして貰えると凄く助かるが・・・・」

「そうね。何か借りられれば描いてみるわ。私スケッチも趣味の一つだったの」

ローレライは笑顔でそう言った。

「シザーレ!」

傍にいたシドは急ぎ画材を探しに出た。

「しかし凄いな、お前のその力は。本当に私を導いてくれそうだ」

「だって、その為の力だってゼロが言ったのよ」

ローレライはにっこりほほ笑んだ。

「ああ、確かに」

ゼロは幼い頃から母には人とは違う力がある事を知っていた。
詳しくは分らなかったが、その力が王を助けている事は何となく理解しており、その母を尊敬していた。
それが、前王が崩御され母の力が必要とされなくなると、国が年々荒れ始めた。
漠然と母の力を信じない従兄の王と皇太后のせいだと思い始めた。
12の時にこのまま爵位を継ぐ事だけに固執していてはいけないと思い始め、国を救う手助けをしたいと思い騎士になろうと自ら決意した。
両親も何れ爵位を継ぐのならばと快く認めてくれて見習いに入った。

成長し騎士として実績も上げ、それなりの地位も任されるようになった頃。
母の助言こそが国を救う最後の手立てだと気付き、何度も王に進言したが全く取り合って貰えなかった。
国の為に自分は何が出来るのか!?
母に問うた事があった。

「来るべき時を信じなさい。必ず道は開けるから、貴方はその時手助けをしてあげてね」

その時母はそう告げた。

ただ待つだけに時間を費やす必要はない。
こちらも来るべき時を信じ新しい体制を受け入れる準備が必要だと思った。
その時こそ本当の意味で母の手助けが出来るのだと思い、ブラックナイトを結成した。
それが、まさか自分が新王に選ばれ、パウリンの力を持つ娘に恋をし、一緒にこれからの道を探り共に歩む事になろうとは夢々思っていなかった。
想像する形とは少し異なってしまったが、私は母の意向に沿って手助けを出来ているだろうか。
ゼロはローレライの力を信じ、これからもずっと傍にいるのは自分でありたいと、愛しい者のを見つめ続けた。

良かったらポチッとお願い致します^^

にほんブログ村


総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【パウリンの娘《第17章1》】へ
  • 【主と従者 《パウリンの娘番外編》】へ

~ Comment ~

NoTitle 

・・・・・これは。
いや、物語の結果を見たほうが早いのかな。。。

この作品が個人的に大好きなところは、
主人公たち以外の人の思惑が内在しているところなんですよね。
世の中は、主人公たち以外の人たちも生きているわけであって、そういう人たちも世界を動かしているのであって、そういうところが表現されていて大好きです。

LandM様 

今日は。嬉しいお言葉です♪
私個人としては脇の事はホントに沢山書きたいのですが、あまり主軸から逸れちゃうと、ついて来れない方も多いようで・・・・。
凄く書きたくてカットした話が先日のゼロが実家に戻る際に襲われる予定だった話とこの後に出て来る兄が雨の中髪飾りを探す場面です。
そうなんです。主人公だけでなく周りもいてこそお話は本当の意味で成り立つんですよね。
ですが、それをまどろっこしく思われる方もいらっしゃるようで、それが少し辛い所。
確かに主人公たちだけでサクサク進めば楽に読めるだろうし作る側もあまり深く考えずに書けるのかもしれませんが・・・・。
今書いてる作品では少し自重してますが、それでもやはり主人公たちだけでは成り立たない構成になってます。
これは私の作風みたいなものですね。もう^^;(そうしないと物足りない^^;)
主人公たちだけで進めばきっともっと短い話になるのでしょうが、だから短編苦手です(笑)

いつも有り難うございます^^
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【パウリンの娘《第17章1》】へ
  • 【主と従者 《パウリンの娘番外編》】へ