パウリンの娘

パウリンの娘《第17章3》

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シドが屋敷にある画材道具一式を借りて部屋に戻って来た。
ローレライはその中からパステルを手に取ると白い画用紙にパウリンを覘きながらスケッチを始めた。
小高い丘か傾斜のある青々とした土地に煙突のある石造りの家が描かれていた。
家の右側には家よりはるかに高い大きな木が1本だけ聳え立ち、木の後ろに小屋らしきものが描かれていた。

「これがその家なのだけれど、小屋に山羊を2頭飼っているわ。白い山羊と黒の斑模様が入った山羊よ。この家を下った所に石畳の広場のようなものがあって、その片隅に小さな洗い場があるわ。洗い場の淵は鈴蘭にツタが巻きついたような彫が施されていてとても可愛いの。村の店先の看板の周りにも鈴蘭とツタをあしらったデザインを施したものが多いようだわ。それに赤みがかった深い緑色の瞳の人はこの町には他にも居るわ。黒髪ではないけれど、行き交う人たちにその姿が時折見られるもの」

ゼロが唸ると、シドも考え込んでいた。
そのような村は今だかつて聞いたことが無かった。
余程小さな村なのだろうか?
しかし、鈴蘭にツタとは・・・・。
それをモチーフにした作家でもいただろうか?
幾ら考えても思い出せなかった。

「すまんが、同じ絵を後4枚、いや出来るだけ多く描いて貰えるか!?」

「ええ、勿論」

ローレライはそう告げると引き続きパステルを手にし描き始めた。


「戻って来た者から順に絵を渡して詳細を話そう。パウリンに映し出されているならば間違いなく、この村に手掛かりがあるはずだ」

「そうだな。ある程度情報を掴むまでは絵を見せながら聞き廻れば見知っている者が出て来る確率もずっと高くなる」

ローレライ本人は些細な事をしているような反応だが、その功績ははかり知れない。
歩むべき道に息詰まると必ずその方向性を見出してくれる。

これが本来のパウリンの持つ導きなのだとしたら、それを信じている限り大きく道を踏み外す事は無いだろう。
これから歩もうとしているゼロの進むべき道は間違いなくローレライが導いてくれる。
ローレライが敷いたレールの上を自分が走れる事がゼロは嬉しくて仕方なかった。

とは言え、その側近たちはどうだろうか?
現段階ではおそらくローレライの力に対する信頼度は微妙なものだろう。
ゼロに対する忠誠心で信頼しているに過ぎない。
だが、これからの調査でこの村が見つかれば、間違いなく重臣たちのローレライに対する信頼度は一気に高まる。
ゼロは自分だけでなくローレライに対しても自分が一番に信頼する者達には何一つ曇りのない無い心で信頼して貰いたいと思っていた。

あの特徴のある瞳を持つ者の多い村がこの国の何処かにあるはずだ。
その事が分かっただけでもこの収穫は大きい。
ゼロはローレライの描いた絵を手にして眺めながら感謝した。

報告に訪れた者から順にローレライの覘いた村の説明と共に描いた絵が渡された。
事情を知るハビロード、ブレイン、フリードルをはじめ、サビエル以下の配下の者達にもそれは配られた。

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