パウリンの娘

パウリンの娘《第4章3》

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夜が明けると被害を収集する者達で屋敷の中はバタついていた。
父は各領主に向けて書簡を送ってくれたが、きっと情報はあまり期待出来ないだろう。
この辺りでは聞かなかったが調べてみると王都に近い場所では近年貴族の屋敷や、少し離れた場所の農家でも牛や馬、山羊や豚、鶏など需要のある家畜が襲われる被害が続出しているようだった。

“賊は何者なのか!?”

単なる金目当てに手を染めた犯罪ならば勿論許せない!
しかし、賊がもしも、重い税を強いられ生活苦に悩んだ挙句に民が起こした事件だったら?
本当に悪いのは民の生活も顧みずに贅沢三昧をし、増税を強いる我王であって民もその被害者なのだ。
何れにしても賊の目的がどうあれ、今のローレライにはとても寛容な態度でいられる自信はなかった。
とにかく何があっても、どんな事をしてでも、ドレアスだけは何としても自分が見つけ出さなければならないとローレライは強く思った。

数日後、イシュラルから北に70マイル程離れたドーリアの地でアシュド伯の屋敷に賊が押し入ったと聞きつけた兄ルシオンが従者のランドンを伴い急いで帰ってきた。

「え――っ!! 屋敷じゃ無かったの!? 俺てっきり誰か攫われたと思って急いで帰ってきたのに。途中で屋敷に戻るって言うフリードルにも偶然会ってさ、この事話しちゃったよ」

「ルシオン様が最後まできちんとお聞きにならないから早合点されるのです。侯爵のお話の途中でいきなり“帰るぞ”って仰られて・・・・ 」

従者のランドンがそう付け加えると、またかと言うように両親は呆れ顔だった。

「賊が押し入ったって聞いたものだから気が動転しちゃってさ」

兄ルシオンはローレライの6歳年上の23歳。
淡い黄褐色の髪に茶色の瞳が良く言えば温厚で気さくな性格をより表している風にも感じ取れる。
少し粗忽だがローレライは兄が大好きだ。

「ああ、いつものお兄様だわ」

そう言うと、兄に飛び付く。

「私、色々あって・・・・、ずっと緊張感が抜けなくてとても辛かったの。でも、お兄様を見ていたら何があっても心は自由で良いんだなって思えるわ。お兄様が帰って来て下さってホントに良かったわ。有難うお兄様、大好き」

兄の腕に包まって頬を摺り寄せる。

可愛いローレライ。
満面の笑顔でそう告げる妹の姿に兄はとても満足そうだった。

「ローレライだけだな。俺を歓迎してくれるのは」

クスッと微笑みながら皮肉って兄がそう告げると

「あら、貴方が帰って来た事を私たちが喜んでいないとでも思っているの!?」

母も笑顔でそう答えると、父はやれやれと言うような含み笑いを浮かべ子供たちを眺める。
ローレライは久方ぶりに家族が揃い、心が穏やかでいられるような気がした。


【※ 1マイル=1.60934km です】

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~ Comment ~

NoTitle 

お兄ちゃん!いいわ^^
長男さんっぽい感じv-238
でも何かあるのかなぁ~?

HANON.H 様 

お兄ちゃん、勝手に動いてくれるのでとても書きやすいの♪
あのままの性格で突っ走ってくれます(笑)
ローレライの為に頑張れるかな!?♪
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