パウリンの娘

パウリンの娘《第17章5》

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その情報は思わぬ所から持たされた。

「レライ。遅くなったけど婚約祝いだ」

ローレライから得た情報を手に、ランドンと別行動で広範囲に情報収集をしてくれていたはずのルシオンが可愛いブーケを手にして戻って来た。
シドはルシオンにあまり期待はしていなかったが、まさかこんな昼過ぎにブーケを抱えて情報収集を途中で放り出し戻って来るとは夢々思っていなかった。

「まぁ、綺麗なお花。それにとっても良い香りだわ。有難うお兄様」

ローレライは満面の笑みでそれを受け取った。

「あら。このお花鈴蘭だわ。珍しいわね」

「ああ、何でも結婚式に使う花を頼まれて特別仕入れたらしくてさ。それ幸せをもたらすって言われてる花なんだってな。それを聞いて少し入れて貰ったんだ」

「おい、ちょっと見せろ!!」

ローレライからブーケを奪うように取るとシドは確認し、ゼロと顔を見合わせた。

「おい、この花何処で手に入れた!」

「隣のハイスンの街中にある花屋。情報集めに回ってたら店先でブーケ作ってる花屋があって、レライにもプレゼントしたいなと思ってさ。妹が婚約したって話したら可愛く作ってくれてさ」

ルシオンが嬉しそうに話す。

「行ってくる!!」

シドは急ぎ飛び出して行った。

何だかとても気まずい気がして、ルシオンは少したじろいでいた。

「えっと・・・・俺、何かしでかした!?」

「いや。そんな事はない」

「でも、シザーレ怒ってた!?」

「いや、あの状況で事の重大さに気付いて無いお前に呆れていただけだ」

ゼロはやんわりと、でも少し嫌味を含んでそう告げた。
そして、それでも呆気にとられたように何も気付かぬルシオンに言葉を失った。

「それにしてもでも、お花屋さんで鈴蘭なんて私見た事ないわ」

「そうだ。この国で鈴蘭の切り花は出回っていないはずだ。鉢植えのものなら私も見た事はあるが温暖な我が国では自生していないし、育てるのも管理も大変だと聞いた事がある」

「では、シザーレは仕入れ先を調べに行ったの?」

「切り花で売るなら国内で生産されてなければ管理は無理だろう」

「仕入れ先が分かってもそこがレライの描いた村だとは限らないだろ?」

「確率の問題だ。今だに的確な情報は何一つ得られていないのだ。我が国に自生すらしていない花が至る所に彫られていると言う事はそれだけでも特殊だ。好んでいるのならば生産していてもおかしくは無い」

「かもしれないけど、そこまで考えて情報集めなんて普通するか? 結構大変なんだな。俺みんな絵見せて聞いて回ってるだけかと思ってた」

ゼロは頭を抱えた。
この兄は、根っからのボンボンだ!
大らかで、人格も良いがそれだけでは駄目だ。
何れ爵位を継ぎイシュラルの領主となるのだ。
ランドンが傍にいなければと思うはずだ!

ゼロはローレライの方を見つめ呟いた。

「お前・・・・この兄をこのまま残して私と結婚して安心できるのか!?」

「ランドンが傍にいれば大丈夫と思うわ」

「お前はどうなんだ? 23にもなって、ランドンに頼ってばかりではいけないとか思わないのかの!?」

「あっ、それランドンに言われた。もう少ししっかりしないといけないみたいに・・・・」

「でも、お兄様はそう言う方だから・・・・」

ゼロは少し呆れたような顔をした。

「お前も悪いんだぞ。そうやってランドンと二人で甘やかすから!!」

それを見て慌てたのはルシオンだった。

「おいおい、俺の事で揉めるのは止めてくれよ。俺もっとしっかり出来るように頑張るからさ」

「良い覚悟だ! 分かった。助けてやるから覚悟しておけよ」

そう告げるとゼロは何か決意したようにニヤリと微笑んだ。

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~ Comment ~

NoTitle 

さすがお兄様~~~(笑)
ゼロとローレライもいい感じ~♪
このままがいいです!このままが!
…ってわけにいかないだろうけど~~~^^;

HANON.H様 

こう言う人なのよ兄は♪(笑)
ゼロにとって今がささやかな幸せの時です^^
このまま? このまま!?
それは無理かも~~~^^;(苦笑)
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