パウリンの娘

パウリンの娘《第17章6》

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陽が落ち始めた頃だった。

「ゼロ! デーン村だ!!」

シドが帰宅と共に大声を張り上げ嬉しそうにそう叫んだ。

120年ほど前に北のレディエ国で内乱が起こり、この国に逃れて来た者が国境近くの北の地に住みつき作った小さな村があると言う。
かつての国花であった鈴蘭を幸せのシンボルとして村の至る所に彫っていると言う。

「レディエ国か? そんな遠くの国から我が国に逃れて来た者がいたのか?」

レディエ国と我が国の間には2つの小国が跨っている。

「俺も今聞いたばかりなんだが、花屋のばあさんが昔聞いた話らしく、そこで鈴蘭を栽培しているとかで仕入れたと店の主人が言っているんだ」

国の事情についてかなり精通していたゼロだったがデーン村の事を聞くのは初めてだった。
北の領主と言えば・・・・。
自ら赴き、この目で確かめたいと思っていたゼロだったが思わずそれを躊躇した。

「まさかと思うがそこはオイゲン公の領地か!?」

「そうだ。あっ、お前の鬼門だったな」

「どうする!? 分かったら一緒に行くつもりだったんだろ!?」

「いや・・・・あそこは不味いだろぅ。偶然出くわす確率は少ないにしても、私が行けば無視する訳にはいかなくなるだろう。後でバレたら何言われるか分らんからな」

「何!? そこそんなにマズイ場所なのか!?」

「いや、危険が伴うとかそう言う意味ではないが、私にとっては一番やっかいな場所だ」

「こいつの姉の嫁ぎ先なんだ」

「まぁ、ゼロのお姉さまがいらっしゃるの!?」

ローレライはパッと瞳を輝かせた。

ゼロは、これはマズイと思った。
行くなら自分も一緒に行きたいと言い出しそうな雰囲気だ。

「いや、私は行かない! お前に任せる!!」

今姉上に事が知れて手を出されて混ぜられるのはゴメンだ!
ゼロは何があっても今の幸せを壊したくなかった。

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