パウリンの娘

パウリンの娘《第18章1》

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デーン村はサザーランド国の最北端にある殆どの地図にも記されていない小さな村で、領主はゼロの上の姉の夫であるオイゲン公だ。
バラサインからは200マイル以上あり、二人が村に入ったのはバラサインを出てから5日目の事だった。

村にはローレライの言うように鈴蘭の彫り物が各所に点在していた。

「場所を聞いて来い。人探しをしているから教えて欲しいとかそんな余計な事は言うなよ。このような小さい村は村民の警戒心は余所より強い。まして他国から移り住んだ者によって作られた村だ。閉鎖的になって情報が聞き出せなくなることも考えられる」

「人探しじゃなかったら、花探しとでも言うのか!?」

シドは頭を抱えた。

「栽培人を探している訳ではない。花探してますでは人は分らんだろ! 直ぐに結果に結びつかなくても良いんだ。場所を想像させるようなきっかけが掴めればそれで探れる。その方が警戒されずに良い」

「じゃあ、何て言うんだよ」

「この絵を良く見ろ! 洗い場の先にあるこの店はおそらく食堂か何かだ」

「ああ、それで!?」

「腹が減ったから食事の出来る場所を探してるとか、この先に記されているのは小物を置いてある店だ。お前は若い独身の男なんだから彼女のプレゼントに可愛い小物を売ってる店を探しているとか何でも良いんだ!」

「ああ、成る程。分かった」

「絵は見せるなよ!」

「なんで!?」

「ここで探っているとバラしてどうするんだ!? あえてサイナーが隠し立てしているのであれば、場所は分かっても情報は聞き出せなくなるぞ!」

「それもそうだな。行ってくる」

聞きに行くルシオンを見送りながらシドはドッと疲れた気がした。

ここまで融通が利かないとは思ってもみなかった。
純粋で擦れてなくて良い奴だとは思うが、一緒に仕事をするとなると別だ。
このままでは使えないし、こうも考えなしに行動されてハッキリ言って迷惑だ。
これではゼロの言うように王宮では渡っていけないと思う。
正しくあの妹にしてこの兄だ!
いや、妹の方がもっとしっかりしているか。それに芯は強い。
女ならそれで良いかもしれないが、あの純粋さが仇にならないとも限らない。
良いように利用されはしないか?
あの娘がこれから先新王となるゼロと結婚し、無事に王宮で暮らしていけるのか一抹の不安を覚えた。

「聞いて来たぞ! この先のパン屋の角を右に曲がって左に曲がって左に曲がったら出るそうだ」

「おい。目印は? 直ぐ右に曲がって左左だとこの先の路地に出るんじゃないのか!?」

「あれ!? 右左右だっけ?」

「・・・・もぅ良い。私が聞いて来る・・・・」

結局シドが聞きに行くと、右角にあるパン屋を通り過ぎた次の角を左に曲がり真っ直ぐ山際に登って行く途中で左に目印となる洗い場が遠目からでも見えて来るからそこを曲がれば良いと言う事だった。

シドが聞いて来た通りに進んで行くと左側に本当に洗い場が見えてきて、そこを左に曲がると絵に描かれていた洗い場の前に石畳のこじんまりした広場がひろがっていた。

「お前の妹は凄いな・・・・」

シドは感嘆した。

「いや。おれもびっくり・・・・」

妹には生まれた時から何か秘めたものがあると両親から聞かされていたが、この様な力があるとは思ってもみなかった。

「いいか。この力の事は絶対に秘密だぞ! 変な輩に知れれば悪用されかねない! 現段階で知らされているのは極わずかな人間だけだ。俺とフリードル、そしてゼロに忠誠を誓ったハビロードとブレインと言う者だけだ」

「分かった!」

おや!? と思った。
今までと違い、顔つきが幾分険しくなったか?
ああ、こいつ追い詰められなければ力を出せないタイプか。
以前ゼロが言っていた。
あの娘に剣の手ほどきをしていた時、中々上達せずに苦しんでいた時に追い詰められた結果少しモノになったと言っていた。
本当に似た者兄妹なのだなとつくづく思った。

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~ Comment ~

NoTitle 

ふふふ…
お兄様楽しすぎる(*^m^*)
お兄様にはしっかりした嫁じゃないとダメだね(笑)
尻に敷いて尻を叩くような人~(大笑)

HANON.H様 

もぅ、ランドンいないとなし崩しの兄です(笑)
そうそう、兄には根が優しくしっかりした嫁が理想よね^^
表に出すかは分からないけど、私の中では決まった人材が既にいます。
結構いいコンビニなれるはずです。
思い出すとその話も書きたくなってくるから困りもの(苦笑)
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