パウリンの娘

パウリンの娘《第4章4》

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兄から遅れる事3日、ドーリアの領主シュタイン候の息子フリードルがやってきた。

「ご無沙汰しております。この度の件、お見舞い申し上げます。遅くなって申し訳ありませんでした。色々調べておりまして・・・・」

「・・・・いや、・・・・良く来てくれた。シュタイン候もお変わりないか?」

「はい。伯爵にも宜しくと申しておりました」

形式的な挨拶を済ませると、伯爵の切れの悪い反応に、いつもと異なる違和感を覚えた。

「・・・・あの・・・・、もしかして私が来ることは聞いておられませんでしたか!?」

そう告げるとフリードルはアシュド伯を見て、その後でチラっとルシオンを見る。
するとルシオンはアレレ!?と言う表情で父を見上げた。

「え~と・・・・来ること話して無かったっけ!?」

「ルシ・・・・オン・・・・」

フリ―ドルが呆れたようにそう告げると、伯爵はルシオンを見て眉を顰める。
ルシオンは慌てて頭を掻きながらゴメンと謝った。

フリードルの話では王都近郊のトランゼと言う街に家畜や家禽を売買する巨大な市場が存在していると言う事だった。
食肉用の取引場として通常は知られている場所だが月に1度、生きた動物たちの競売が行われると言う事だった。

「ここは大きな取引所なので賊の組織が大きいほど出品する可能性は低いと思われます。しかし、方々に点在する小物を追っていても現段階では情報も少なすぎますし時間が経過すれば尚更捜索は難しくなるでしょう。私個人の見解と致しましてはかなり多く人の出入りもあるようですし、例え見つからなくとも競売に来た者から何らかの情報を得る事が可能と思います。直ぐに見つからないにしても市で情報収集をする意義はあるかと思いますが如何でしょうか?」

「凄い! フリードル」

ルシオンがそう言えば伯爵も

「いやぁ、流石だ。この短時間に良く調べてくれた。早速捜索に誰か向かわせよう」

既に誰を行かせようかと考え始めている様子だった。

こっそり応接室の扉の向こうから話を伺っていたローレライは、我慢するのももどかしく咄嗟に

「私が行きます! お父様!!」

扉を開きながらそう叫んでいた。

「ローレライ! お前聞いていたのか!?」

「御免なさいお父様。でも、私はどうしてもあの仔を探さなくてはならないの。それが私に課せられた運命なのよ。きっと。私の言いたい事お父様なら分かって下さるでしょ!?」

娘から運命と言われれば、恐らくはパウリンに何か関係しているのであろうと父は即座に解釈する。
しかし、可愛い娘に到底そんな危険な事はさせられない。
考えあぐねていた。

「ローレライは言い出したら聞かないからなぁ。それに奪われたのはローレライの愛馬の仔馬なんだろぅ!? 心配だよなぁ。そりゃ、探しに行きたいよなぁ。何なら俺が一緒に付いて行ってやろうか!?」

「お前は黙ってなさい! 元々お前には頼んだ事があったはずだが!? それはきちんと先方に渡してくれたのか!?」

.ルシオンが“まだ”と言えば、父も深いため息をつく。

「あぁ・・・・、お前はどうしてこんな風に育ってしまったのだろうなぁ・・・・。思ったことを直ぐ行動に移すのではなく、少しはフリードルの様に考えてから動いてくれれば・・・・」

「酷いなぁ。俺だってきちんと考えているのに・・・・」

少し雲行きが怪しくなってきたと感じたその時

“トン、トン”

誰かが扉を叩く音がした。

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NoTitle 

ノックは誰かしら?(^m^)
お兄ちゃん確かに動いてくれそうだね!(笑)
でもそういうキャラって出すぎてくるから
抑えるの大変なのよね^^;

HANON.H様 

ノックは在り来たりの人です(笑)
お兄ちゃん、これから先の絡み方から言ってあまり出させすぎると不味いので、結構次の章から気を付けています。
本当はもっともっと出したいんだけどなぁ^^;

NoTitle 

昔から賊の類の盗品はありますからね。
有名なところを言えば、絵になりますけどね。
ヨーロッパで名画が盗まれるのは、一番アシがつきにくいですからね。盗んだ人→密売人→闇市場→骨董品屋→金持ち。所謂、確実に金になるものですからね。札束盗んだら番号からアシがつくご時世ですし。
一回闇市場に回ると、20年ぐらいは返ってこないといいますけどね。

LandM様 

いつも有り難うございます。
そうですね。ここでは文面として細かい記述は出て来ませんが国の現状として窃盗が一番多くはなってます。
後々大まかなものは少し表現として出てきます。
金品なら先ず帰って来ないと思った方が良いですよね。
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