「パウリンの娘」
パウリンの娘 《番外編》

2012年Xmas特別企画/願いを込めて7 ~パウリンの娘番外編~

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如何いう訳か自然と涙が溢れて来てコントロールが効かない。
とにかく情けなくなって泣けて来て仕方ないのだ。
自分でもどうしようも出来なかった。

「おぃ、また、どうして訳の分らん事を・・・・。お前泣き上戸か!?」

“ああ、そうか、泣き上戸なのだわ!”

ローレライの涙は幾ら声を掛けても酷くなるばかりで泣き止む様子もなく、ゼロは困り果てた。
ただ肩を抱き寄せ背中をポンポンと軽くたたきながら宥める以外何も出来ず、泣き止むまでずっとそうしてやろうと思っていた。
だが、次第に事態は変わって来た。
今度は泣き疲れて、少し息が荒くなってきた。
これには完全に脱水症状だ。
こういう場合の対処方法は王宮勤め時代、酒飲みの多い男所帯で過ごした経験からも熟知していた。

ゼロは焦る事も無く、突如舞い降りた幸運に思わず苦笑いした。

「応急処置だ。我慢しろ」

そう告げると自ら持って来た冷水を口に含むとローレライの顎をクイッと少し押し上げた。
上向きにすると己の唇をほんのり薄紅をさし、魅力的だが少し苦しげにうっすら無防備に開けられ息するその場所にそっと押し当てた。

“コクリッ”

ローレライはゼロから注がれた冷水を少し唇の横から零しながらも迷うことなく飲み込んだ。

「大丈夫か!?」

ほんのりと触れた唇の温かさに頭がぼぅ~っとしつつも胸が更に熱くなる。

“ああ、なんて幸せなの”

ローレライの瞳からポロリと一滴涙が零れ落ちた。

「大丈夫か!? 苦しいか!?」

「・・・・もっと・・・・」

「ああ、分かった」

ゼロは嬉しそうに優しく微笑むと再び口に冷水を含み何度も何度もローレライの濡れそぼった唇に冷水を注ぎ込んだ。

まさか、自分がウィッシュボーンに勝った事でローレライがこのように少し乱れ、あの時願った“勝ったらキス位しても許されるだろうか?”と言う悪戯心が、こういう形となって叶うとは夢にも思っていなかった。

“来年はきっとお前の夢が叶うと良い”

ゼロはローレライに冷水を何度も注ぎ込みながらウィッシュボーンの言い伝えを少しだけ信じたくなった。

ローレライが少し落ち着きを取り戻した頃、ゼロは上着のポケットに手を差し入れた。
中には昨夜渡されなかったクリスマスカードが入っている。
今日はカードを握り締めると取りだし、そっとその手をローレライの前へと差し出した。

「Mary Xmas ローレライ」

少しはにかんだ様に照れくさそうに微笑むゼロを、ローレライは満面の笑みを浮かべて見つめるとそれを受け取った。
開いたカードを見るとローレライは瞳をパッと輝かせ、ゼロの胸にしがみ付くと首に手を回し頬に恥ずかしげに唇を軽く押し当てた。

「有り難うゼロ!」

カードには一言だけ言葉が添えられていた。

『騎士としての誓いをお前に捧げる』


他国から舞い込んできたクリスマスウィッシュボーンの言い伝えは数年後、サザーランド国でも恋人たちの知る恒例行事となった。


(1013.04.08(一部加筆))

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