パウリンの娘

パウリンの娘《第18章5》

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表に出ると子供を馬の背に乗せ遊んでいたルシオンに声をかけた。

「おい。行くぞ。話は終わった」

「あ、うん。じゃあこれでおしまい」

そう言って馬から降ろそうとしたら、子供が駄々をこねた。

「え~~~っ、もっとお馬さんに乗りたいーーーーっ!!」

「これ、ラング! 我儘はだめだよ」

散々子供は駄々を捏ね、困った事になったと思っていたら案外ルシオンが子供の扱いに慣れている事に驚いた。

「分かった。じゃあ、後一回だけ。その辺りぐるっと回ってそれでおしまい。次は男の約束だからな。泣いたら駄目だぞ」

「うん。分かった」

そう言うとルシオンは再び子供を馬の背に乗せ家の周りをぐるりとまわった。
そして子供を馬から降ろす前に言った。

「男の約束だからな。泣かずにいられたら今度来たらまた乗せてやるからな」

「うん」

今度来たらって、お前が来る事はないだろう・・・・。
そう思ったが、シドはルシオンの意外な一面を垣間見た気がした。

「すまんね」

「いえ。子供は好きですから」

ルシオンは子供の頭を撫ぜて“またな”と告げると笑顔で大きく手を振りながら来た道をシドと共に下って行った。

「皆が情報を待ってるからな。急いで戻るぞ!」

「うん。分かってる」

そう言って、通って来た道を戻り広場に出た時だった。
突然小石が投げられてきて馬にかすり、慄いた馬から振り落とされそうになった!!
必死で馬を押さえて、何とか落馬せずには済んだがシドは一瞬切れそうになった。

「おいこら! そこの餓鬼!! 危ないじゃないか!!」

「ぼっちゃま!!」

傍にいた侍女らしい娘が慌てて駆け寄り何度も頭を下げた。

「申し訳ございません。私の不注意です!!」

必死で謝ってくれた。
まぁ、幸い怪我も無かったし事を荒げるつもりも無いからそれでその場を納めようとした時だった。
傍の店先から着飾った貴族らしい夫人が現れた。

「どうしたの!? 店の中まで大声が聞こえたわよ!!」

「申し訳ございません。あの・・・・ぼっちゃまがあのお方の馬に向かって石を投げられて・・・・」

「何言ってるのよ!! レオナードがそんな事する筈無いでしょ!!」

「ちょっと、そこの貴方!! うちの息子に変な言いがかりは付けないでよ!!」

母親らしき夫人は声を荒げてシドに抗議した。

「違うのです、奥さま!!」

侍女の制止も聞かずに声を荒げる夫人に眉を顰めてその顔を覗き見てシドはハッとした。

「・・・・おい、急ぐぞ!!」

そうルシオンに声をかけた時だった。

「・・・・シザーレ!?」

怪訝な面持ちの夫人が確かにそう声を掛けた。
何て間が悪いんだ!!
シドは頭を抱えた。

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