パウリンの娘

パウリンの娘《第18章6》

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「いえ、人違いです」

シドはそう告げ、早々にその場を離れようとした。

「行くぞ。ルシオン」

(「良いのか!? 知り合いじゃないのか!?」)

(「今声を掛けるな!!」)

「ちょっと逃げないでよ! 卑怯者!!」

シドは去り際にそう言われてカチンと切れた!!

「何が卑怯者だ!! お前こそ男の敵だ!!」

「やっぱりシザーレじゃない」

夫人はふふふんと不敵に微笑んだ。

シドは悔しそうに頭を掻き毟る。

「お前、こんな所で何してる!? あの後子爵の家に嫁いだんじゃないのか!?」

「ええ、あの旦那は去年死んだのよ。だからまたこっちに世話になってるの」

「行ったり来たり相変わらず良い身分だな」

「あら、女の敵の貴方にそう言われる筋合いはないわ」

「私はお前とは違う!!」

「一緒じゃない。捨てられたマチュアはそれはそれは辛い思いをしたんだから」

「捨てたんじゃない!! 私はあいつの事を想って・・・・別れたんだ」

「一緒じゃない。まぁ、でも今は良かったんじゃないかしら。それなりに幸せそうだから」

「そうか・・・・良かった」

「アイスラントは!? 元気にしてるの? 2年前に大勢の部下を引き連れて王宮を去ったって聞いたけど。貴方も一緒だったんでしょ。ホント馬鹿よね」

「お前に言われる筋合いはない!! アイスラントとはあの後1年位一緒だったが、今は何処で何しているのか知らん」

「そう・・・・」

その時夫人はチラリとルシオンに目をやった。
.ルシオンは、シドが声を荒げた子供に声を掛け、どうやら諫めていた。
子供も知らぬ間に落ち着いて来てシドに対しごめんなさいと謝ったのを見て顔つきが徐に変わった。

「ぼっちゃまが、お謝りになるなんて・・・・」

侍女もびっくりしているようだった。

「あなた何者!?」

急に子供の母親らしき美しい夫人に食い入るようなで見つめられ如何していいか分らずルシオンは戸惑った。

「えっ!? 俺!? えっと、私はイシュ」

「今一緒にある屋敷の警護についている私の部下だ。お前の毒牙の餌食にはさせんよ」

シドがルシオンの言いかけた言葉を遮った。

「あら、人聞きの悪い。貴方の部下なの。それは残念。でも、こんな所にどうして!? 何か意味有り気よね」

「お前に話す必要は無い!!」

「えーっと、実は、婚約した妹のお祝いに可愛い小物が売ってあると聞きつけて役目の途中に寄らせて貰ったんです」

ルシオンはシドに言われたことを踏まえて一様考えて言葉を選んで話し始めた。

「おい。お前は黙ってろ!」

シドはその間の悪さに頭を抱えた・・・・。

「あら、そうなの!? ここの髪飾りが素敵よ」

「そうですか」

「そうだわ。今買ったんだけど、これ妹さんにプレゼントするわ」

「良い。要らん!!」

「あら、貴方にあげるんじゃ無いもの。いいでしょ」

「良いんですか!?」

「取り合うな! ほら、行くぞ!!」

「あの、申し訳ありません・・・・」

ルシオンは謝り夫人に頭を下げるとシドの後を追った。

思いも寄らぬ者との再会に、シドの心はかき乱されていた。
そして、思った。ゼロがこの地を訪れなくて本当に良かったと・・・・・。

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