パウリンの娘

パウリンの娘《第18章7》

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その日の晩は30マイル程離れた町に宿を取った。
食事を終えて部屋に戻り少し横になった時だった。
ルシオンの上着から何かが零れ落ちた。

「あれ!? 何、これ!?」

.ルシオンは零れ落ちた小さな包みを広げた。

「うそぉ~~~!!」

「おい、どうした!?」

「いや、俺貰ったつもりは無かったんだけど、何かこれ入ってて・・・・」

それは、象牙に鈴蘭の彫が施されている高価な髪飾りで、おそらくあの夫人がプレゼントすると言ったものだった。

「お前、あいつに相当気にいられたな・・・・。まぁ、お前は普通の格好をしていても平民には見えないからなぁ。貴族のボンボンと気付いたか。気を付けろ。あの女、お前を狙ってるかもしれんぞ」

「えぇ―――っ!!」

ルシオンはあの夫人の姿を想い出しゾッとした。

「でも、これどうしよう・・・・」

「そんなの捨てて行け!!」

「でも、これレライが凄く好きそうなデザインなんだけど・・・・」

「そんな事は知らん!! ただ、これだけは言える! あの女からプレゼントされた物をお前の妹が喜ぶ筈はない!!」

「なんで!?」

「どうしてもだ!! 要らぬ事を吹き込んで妹を悩ませたく無いだろう!?」

「それはそうだけど・・・・」

ルシオンは怪訝に面持ちでシドを見つめた。

「何だ!? そんな目で見るな!!」

「話してよ。幾ら俺でもあの人とシザーレとアイスラントが何か関わりがある事位分かる。それに毒牙がどうとか言ってたし、あの人がもしかしてゼロのお姉さん!?」

「違う。元侍女だ」

「侍女!? 貴族じゃないのか?」

「元々は子爵の娘だったらしいが、父親が死んで色々な屋敷に侍女として渡り歩いてたらしい。ゼロの上の姉の結婚が決まった時に侍女として雇われ式までの半年間ゼロの屋敷に仕えてた」

「て、事は嫁いだお姉さんについて行ったんだよね。でも、旦那が死んでどうとかって言ってなかったか!?」

「言ってたな・・・・」

「で、今こっちで世話になってるって・・・・」

「あ―――っ、もぅ。きちんと話さないと不味いか・・・・・」

シドがかなり迷って葛藤しているのが伺えた。

「俺、絶対に誰にも言わないから。約束するから!」

シドは口の軽そうなこの兄に話して良いものかと散々迷ったが、妹の不幸を望むような兄ではないので、そこは信じて話す決意した。

「いいか、絶対に他言無用だぞ! この事はエルも知らんからな!! 他言すればお前から漏れたと直ぐにバレるから心して聞けよ」

「・・・・分かった・・・・」

シドは心の中でゼロに謝り、神妙な面持ちで言葉を口にした。

「あの女はなぁ。ゼロが若い頃、付き合った女だ」

「えぇ~~!?」

ルシオンはまさかゼロの女話が出て来るとは夢にも思っていなかった。

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