パウリンの娘

パウリンの娘《第19章7》

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ローレライも驚きを隠せない。

「私にですか!?」

行き成り出て来た自分の名前に目をパチクリさせている。

「実は私の母の前のパウリンの保有者はグルバルトのお婆様だったの」

「そうなのですか?」

ゼロは思いがけないその言葉に己の運命への導きを感じた。

「グルバルト公はその事を御存じなのでしょうか?」

「ええ、それは御存じでしょう。詳しい事を何処までご存じかは分からないけれどグルバルト家は今まで一番多くのパウリンの後継者を排出している家系です。近年ではお婆様、母、私と3代続き、それはそれは誇らしく思っていらっしゃいました。今までのパウリンの流れは私の代で途絶えてしまうけれどアイスラントはグルバルト家の血縁者。それに新しいパウリンの後継者と結婚するのですもの。歓迎しない道理はないわ。たた、事が事だけに詳しくお話しする必要はあるわね。ですから私も一緒に参りましょう。そしてきちんと今回の件についてお話し致します。公は今の政権に従ってはいるけれど、良く思われていないのは確かです。兄の即位式の時、我が血縁者が王となる事をそれはそれは誇らしく思っていらっしゃいましたから現王が兄上の実子で無い事が証明できればきっと血縁者であるアイスラントを後押しして下さるでしょう」

「母上には今回の私の件についての異論はないのですか?」

「異論も何も私は貴方に私の後継者となる者を助けてあげてねと以前言ったのよ。覚えていて!?」

「それは勿論、忘れた事はございません」

「なら分かるでしょう? まさか貴方がパウリンに導かれる者となるとは思いもしなかったけれど、結果、こうなって一番喜んでいるのは私だと思うわ」

「父上は!? あのような形で出て行った私をお許しでは無いでしょ!?」

「そうだな。お前のあの時の暴言は今も許す気にはなれんな」

「あなた!!」

「お前はズルい。一人で先に王宮を去りやがって!!」

「父上!?」

「本当はね。重臣の中で、一番最初に王宮から離れたいと言ったのはこの人なの」

「そうなのですか!?」

ゼロは思わず父を凝視した。

「それを私がずっと止めていたの」

「母上が!?」

「ローレライが生まれた時に、この国が滅びの道を歩む事になる事は分かっていたの。だから新しいパウリンの娘がやがて新王となる人物を見つけて導いてくれるからその時に手助けをして欲しいとずっとお願いしていたの。その為にはそれまで宰相の地位を守って頂かないと困るのよ」

「・・・・確かに・・・・」

「私はザビーネの力を信じているからな。ローレライの導きも、勿論信じているよ。だから新王に対する忠誠は誓うが、親としては愚かな放蕩息子をまだ許す気にはなれない」

「父上・・・・」

ゼロは自分の浅はかさを初めて悔いた。
両親の気持ちも知らず、ずっと父を蔑んできた。
何度父を卑怯者呼ばわりした事か分らない。

「父上のお心も知らずに私は浅はかでした。申し訳ございませんでした」

ゼロはそう告げると父に深々と頭を下げた。

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