パウリンの娘

パウリンの娘《第19章8》

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ゼロの母ザビーネは話し終わると直ぐにグルバルトの屋敷に使いを出し明日の内に会える手筈を取ってくれた。
今夜はオードラルの屋敷に皆泊まる事になり、ローレライは晩餐の後でザビーネの私室に呼ばれていた。

「でも、本当に良かったわ。私はこのような事でもない限りあの子に結婚を決意させるのは難しいと思っていたの。お話しは幾らもあったのに全く耳を貸してはくれなくて。そして無理にでも進めようとすると必ずこう言うの。“形だけの結婚をした所で何の意味も持ちませんよ。跡継ぎも望めませんがそれで宜しければ勝手に決めて下さい”なんて言うのよ。取り付く島もないでしょ」

ザビーネは笑い話のように話してくれたが、その言葉はローレライにとって衝撃的だった。

「・・・・独身主義者だったのですか?」

ゼロに女として見た事がないと言われて考え込んだ時、色々思った。
単に子ども扱いされているのか、女性が嫌いなのか、何も考えていないだけなのか!?
でも、その答えは幾ら考えても見つけ出せずにいた。

「はっきりとは口に出すことは無かったけれど、そう言うつもりだったのではないかしら。若い頃色々あって女性に対する見方が変わったとは以前言っていたけれどその事が原因なのかしら? だから手紙で婚約したと聞いた時は本当にびっくりして。その後も半信半疑でいたのだけど先日戻って来たって聞いて、何をしに帰って来たのかと思っていたけれど、貴方の指に嵌められているその指輪を見て、本当にもぅ私嬉しくて仕方がなかったのよ」

ローレライは自分を受け入れてくれ喜んでくれている義母となるザビーネの心とは裏腹にとても複雑な心境だった。
ゼロと知り合って数か月。自分の知る限り、確かに周りに女性の影は見つけられなかった。
周りにいる者達も皆同じだったので、騎士の称号を持つ者はただ単にそう言う事に疎いのだと何処かで漠然と思っている節があった。
それが過去に見方が変わるほどの出来事が女性との間にあったと言うのなら、女と言うだけで自分は元々は毛嫌いされていたのでは無いだろうか? 的外れも良い所だ。
女が嫌いだから独身を貫くと言うのは理に適っている。
それをパウリンに映し出された事で自分がゼロの背負う運命を強制的に大きく変えてしまった。
今思い起こせばあの時の“分かった。お前と結婚し新王になってやる!!”と言ったゼロの吐き捨てたような言い様も理解できる。

“私の後継者となる者を助けてあげてね”

考えれば考える程先程ザビーネ様との話に出て来たその言葉こそが真実だったのだと思えて来た。
その事があったからこそ己の考えとは違う運命をいとも簡単に運命として受け入れてくれたのではないか?
その事に気づき、ローレライは己の愚かさを思い知らされた気分になった。

「私は何て事を・・・・」

事の重大さに今更ながらに気付きローレライは慌てふためいた。

「どうかしたの!?」

「あの・・・・パウリンの定めを変える事は出来ないのでしょうか!?」

「ローレライ・・・・貴方、何を言っているの!?」

「あまりに申し訳なくて・・・・」

ローレライは今にも泣き出しそうだった。
ゼロがあまりに優しかったから、甘えてしまった自分に嫌気がさして来た。

「あの子の事が嫌いなの!?」

「そんな事はありません!! 私はずっと大好きで・・・・。だから自分の気持ちに気付いた時パウリンを覘く事が怖くなったんです。・・・・でも、映し出されたのが彼で、とても嬉しくて・・・・」

耐えきれなくなりローレライの瞳には涙が溢れて来た。
その姿を見たザビーネは傍によるとギュっと抱きしめた。

「だったら何も泣く事は無いわ。何も問題は無いじゃない。大丈夫よ。あの子は貴方をとても大切に思っているわ。母親ですもの。あの子の貴方を見つめる瞳を見ればそれは分かるわ。もっと自分に自信を持たなくちゃ」

ザビーネはローレライが落ち着くまで抱きしめ、ずっと背中を擦った。

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~ Comment ~

NoTitle 

んふv-238
いい感じ~^m^
ぐるぐる大好きです♪

ゼロ可愛いよ~~(笑)
でも もう少しがんばりましょう だね!(笑)

HANON.H様 

いい感じですか!?もぅローレライ一人でグルグルです(笑)

ゼロって自分の信念があるから簡単に謝る人ではないんだけど、正道な人だから認めたらやっぱりここはきちんとね♪
頑張りはお互いに必要だよね♪(笑)
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