パウリンの娘

パウリンの娘《第4章6》

 ←パウリンの娘《第4章5》 →パウリンの娘《第5章1》
父はローレライを行かせずに済む方法を模索していた。
自分以外は明らかに皆賛成している・・・・。
・・・・困った・・・・。
考えあぐねている時に再びあの事が頭を過った。
そうだった!

「ルシオン、先程も申したがお前には私の代理として大切な書状を任せていたな。まだその役目も果たせておらぬのに、お前はこのままで良いのか? それが片付かなければ残念だか同行は認められないぞ」

父は満足気にそう告げると勝ち誇った子供のようにルシオンに目を向ける。
しかし、帰ってきた言葉は予想を遥かに超えるものだった。

「父上、元々そう言う事は私には無理です。向いていない事が今回良く分かりましたから専門の者に任せて下さい」

キッパリとそう言い切ると、父は再び呆れかえった様にあんぐりと息子を見つめた。
何故うちの息子は一度しか試みずに、こうも自信有り気にスッパリと諦めてしまえるのか!?

「そう言う者に任せられないからお前に頼んだのではないか!」

伯爵は息子の不甲斐なさと、とにかくローレライを行かせたくないので必死の抵抗を試みているようだった。

きっと二人は自分の存在を忘れている・・・・。
気持ちは分かるがこうも話が反れて無視されてくると、どうも居心地が悪い。
フリードルはチラッと伯母とローレライの姿を見た。
伯母は何事も無いような素振りで平然と紅茶を啜り、ローレライは手を胸の前に組んで心配そうに二人の姿を追っている。
やがて、伯母と目が合うと意味有り気にニッコリ微笑んだ。
これは、何か期待されているのか!?
フリードルは考え込んだ。

伯爵の言う事も分かるが、内容を聞いているとルシオンに任せるのも役不足であろうとフリードルは感じていた。
このままでは一向に話は平行線のままで先に進まないと感じ、とりあえず今思い立った案を話してみようと口を挿んだ。

「あの、その件は本当に他の者に任せられないものなのですか!? 失礼ですが、どう考えてもお話を聞いている限りでは、私もフリードルには難しいと思うのですが・・・・」

「無理だな。書状の内容が他の者に知られれば、最悪イシュラルは潰される。他の者には任せられん」

「私では!?」

「そんな事はさせられん! ドーリアに迷惑はかけられない!!」

「と、言う事は、言えば協力してくれるであろうから話せないのですよね」

不敵に二ヤリッと笑うとフリードルはそう言った。

観念した伯爵は、フリードルの現状を知ったと言う事もあって、決して他言せぬように口止めすると、書状の内容を重々しく話し始めた。
最初は厳しい表情で真剣に聞き入っていた感じのフリードルだったが、その内段々表情が和らいできた。

「なんだ。最初に言ってくだされば良かったのに・・・・。私知っていますよ、そのお方。本人には何時でも会えませんが、側近にでしたら2日もあれば接触できます。お届けしますよ」

思いもよらぬ返答が帰って来て伯爵も他の者達も返す言葉を見つからなかった。

「4日・・・・いえ、3日で帰ってきますから旅支度をしておいて下さい。これでルシオンも一緒に行けるし、何も問題はありませんよね? では、書状は私がお預かりします。ルシオン!」

「ああ、ちょっと待ってて」

慌てて書状を取りに行き、フリードルにそれを手渡す。

「では、急ぎますので!」

伯爵は口を挿む機会を失い、そう言われれば“頼む”としか言えず、そう告げるとフリードルを見送った。

良かったらポチッとお願い致します^^

にほんブログ村




総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【パウリンの娘《第4章5》】へ
  • 【パウリンの娘《第5章1》】へ

~ Comment ~

NoTitle 

フリードルいいねv-238
やっぱり行動力ないと!
…で早く帰って来てね~(笑)

HANON.H様 

フリードル気に入って貰えて良かったわ^^
彼はキーマンなので今後もかなり出て来きます♪
準備なんて書くことないし(笑)、直ぐに帰ってきます(苦笑)

NoTitle 

この辺は親ばかなのか、
あるいは常識があるのか。
急に旅に出ますと言われて、
出て頂戴と言われるのも愛を感じないような気がする。。。
父も大変ですね。

LandM様 

伯爵は常識をわきまえている方ですが、ここでは何より親ばか面が前面に出て来ています。
父親にとってやはり娘と言うものはかなり可愛いもののようで年頃の娘ならば尚更って所でしょうか。
ローレライが何かを背負っていることは知っているので父としては辛い所です。
この時点で最終的には婚約者探しと知っていたらきっと父は出さないと言い張っていたと思います。
父ってホントに大変です^^;

いつも有り難うございます。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【パウリンの娘《第4章5》】へ
  • 【パウリンの娘《第5章1》】へ