パウリンの娘

パウリンの娘《第20章1》

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グルバルト公爵家は王都を少し離れた郊外にある。
距離にして5マイルと離れておらず、身近な場所に自然も多い事から子供たちの小さい頃はザビーネも避暑地として好んで度々訪れていた。

「フレド兄様、お久しぶりです。この度は急な申し出を快く受け入れて下さって有難うございます。大人数で押しかけてしまって申し訳ありません」

ザビーネがそう挨拶したのは従兄で現在グルバルト家を継いでいる主フレドール・フォン・グルバルトだった。
ザビーネと同じ薄紫に瞳に漆黒の髪。長髪で髪は後ろに束ねられているが、その面立ちはゼロにも良く似ている。

「いや。久し振りに会えて嬉しいよ。宰相もご一緒とは伺っておりませんでしたが、大歓迎です。さぁどうぞお入りください」

そう告げると主自ら応接室へ誘った。
今回同行したのはゼロとローレライ、それにゼロの両親とシザーレ、ハビロード。
兄とランドンの目的はゼロの両親への顔見せだった為留守番となった。

皆が応接室へ入ると直ぐにその扉は閉ざされ、公爵は内鍵をカチャリと閉めた。

「申し訳ありません。無作法になりますが用意できるのはお茶位です。今夜は執事や家の者にも休みをやりったもので。妻子には近代オペラのチケットが手に入ったからと外出させました。今夜は誰も帰って来ない筈です。長男のファンベルトのみ自室で待機させています。如何言ったお話なのか聞かせて頂けますか?」

昨夜ザビーネから受け取った手紙の最後には“国の威信にかかわる事情故お人払い願います事をお許しください”とあったらしい。
その様な内容の手紙を受け取り、直ぐに対応し来訪を歓迎してくれたことを皆感謝した。
この時点でザビーネはきっと大丈夫だと確信めいた気持ちを抱いた。

「お兄様は今のこの国の現状をどのように捉えていらっしゃる?」

「母上! いきなりそのような事を申し上げるのは・・・・」
慌てて口を挿んだのはゼロだった。

「いえ、良いの。これだけの状況を作って頂いたのですもの。お兄様もきっと推察されているでしょう」

公爵はゼロに向けて軽く手を上げるとそれを諌めた。

「その通りだよ。君から手紙を貰った時、これは今後の王政に関わる事についての算段だと直ぐに分かった。予定に無かった宰相までご一緒で、これはもぅ間違いないと確信した」

「御見それいたしました」

ゼロは公爵に深々と頭を下げた。

「このままでは数年の内に反乱が起きて王が首を取られるか、側近に寝首を狙われるか、最悪隣国に攻め込まれて国が終わりを遂げる事も考えられると思っている」

その考えはゼロが思っているものと同じだった。

「それを回避する手段は考えていらっしゃる?」

「だから私もお話ししたかった。国がこのような状況になっていると言う事は、王はパウリンの存在を・・・・力の意味を認めてはいないのではないか? ザビーネの助言は聞き入れられているのか?」

パウリンの力の存在を知るのは本来王とその近しい側近のみのはず。
多少の事は知っているとは推察していたが、そこまで公爵が熟知している事にザビーネは驚きを隠せなかった。

「そこまで知っていらしたの!?・・・・。何時から?」

「この公爵家を継いだ時から。その理由は現段階では詳しく話せん。真意を聞き、話すに足る理由が見いだせれば全てを話そう」

ザビーネは残念そうに大きくため息をついた。

「全く耳も貸して頂けていないわ。パウリンの存在も認めようとして下さらない。私は表向きと同じ唯の王宮付の占い師。それ以上でもそれ以下でも無いのが現状よ」

普段温和な公爵の表情がその途端険しいものへと変貌を遂げた。

「そこまで酷い扱われ様とは・・・・。パウリンの力を蔑にするにも程がある!!」

公爵は皆の前でその怒りを露わにした。

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~ Comment ~

NoTitle 

王宮に動き出すのかな…?

あちらのお部屋にまでおいでいただき
ありがとうございます~^^;
あっちは在庫いっぱいあるので、こっちに戻ればいいのですが、
戻れなくて…
って涼音さんの所で言い訳してどうしろと?(笑)
スミマセンです~~m(__)m

はのん様 

きちんと証拠能力があるものが掴めたら次は王宮です。
その間に少し色々あるけど。

あちらのお部屋はホントに凄い事になってますね♪
こっち、戻れないかぁ(苦笑)
でも、いつか戻ってきてね♪
海よりも深~い?心でまってるわ^^(笑)
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