パウリンの娘

パウリンの娘《第20章7》

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振り返ると、あまりのアイスラントの緊迫した表情に公爵は何事かと訝しげに見つめ返した。

「どうしたのだ!? ローレライ嬢の体調はそんなに悪いのか!?」

どうやら公爵はブレイドの変化に気付いてないらしい。

「いえ、ブレイドが・・・・、ローレライにかなりの執着を覚えたようです。私に対する敵意剥き出しで・・・・」

「見間違えではないのか? 奴とて既に婚約者がいる者に対して・・・・」

公爵は言葉を詰まらせると額に手を当て、顔を顰めた。

「伯父上!?」

公爵は書庫から応接室へと向かう中で息子にザビーネの訪れが示唆していた今後の王政についての賛否が目的であったことを告げた。
そしてそこには記述に記されていた娘が同席していた事も。
話しが終わらぬ内にその事実を聞いたブレイドは、こちらの話が耳に入らぬ程に歓喜した。
公爵は今詳しい話をするのは無理だと判断した。
もぅ少し落ち着いてから話そうと思っていたのだ。

「済まん! ローレライ嬢が既に新王を見つけ出し、お前の婚約者である事を告げておらんかった」

「・・・・それは、不味いのでは!?」

ブレイドの思い込みの激しさは共に周知の事だ。

「急ぎ知らせねば!! 大丈夫だ。あいつは、思い込みは激しいが、あの本を熟知している。お前がパウリンに映し出されたと知れば、きっと・・・・」

公爵は自分に言い聞かせるかのようにそう告げたが、かなり焦っているようだった。

「そのような事位でブレイドが治められるのですか!? あいつの執着心が起こした数々の珍事を伯父上も御承知でしょう?」

ブレイドは子供頃から大の薬草好きで、新しい調合を開発しては誰彼かまわずその腕前を披露してみせた。
今までにお茶の席と称しては色々な物を混ぜて飲ませ周りに、はた迷惑な行いを数々起こしている。
ゼロ自身も子供の頃避暑に訪れていた折、何気に匂わせた一言でセンナ、白桃花と言う通常少量で下剤効果のある薬草を大量に飲まされ3日間苦汁を味わった。

「まさかこのような席でそのような真似はしないとは思うが・・・・」

息子を信じたいと思う反面、そう口にした途端、公爵は不安に駆られその顔色は見る見る青ざめて行った。

ゼロはその表情を見るや否や駆け出すと、お茶の用意をしているであろう調理場を目指した。
しかし、そこはシーンと静まり返っており、人の気配が感じられなかった。
ブレイドの姿は無く、再び戻ると伯父に尋ねた。

「調理場にブレイドの姿はありませんでした。一体何処でお茶の用意をしているのですか?」

「温室の一角に、あいつの調合場がある。まさかと思うが、それ以外思いつかん・・・・」

公爵も共に直ちに向かおうと足を向けたが、それはゼロによって制された。

「伯父上は私の連れを呼んで来て下さい。お願い致します」

そう告げるとゼロは温室の一角にある調合場へ急いだ。

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