パウリンの娘

パウリンの娘《第5章1》

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3日で旅支度と言われ、ローレライは買い物に出かけたり準備に忙しい日々を過ごしていた。
同行するのは兄とフリードルの他に

「お嬢様はフリードル様にお任せできますがルシオン様はお任せできません。直ぐに行方を眩ますのがお得意な方ですから、それについて行ける護衛は私しか居ないと自負しておりますので同行させて頂きます」

と、言う事で兄の従者のランドンも行く事になった。
ランドンは短剣の使い手で腕は確かで護衛としてはかなり信頼できる。
ローレライの侍女も同行を申し出たが、危険と分かっている旅に若い娘を連れていけないので却下された。

移動は馬に騎乗してのものとなり、状況によっては長旅になる事も考えられる。
ローレライは相棒として今回ジュリアスを選んだ。
アドレアはまだ産後1か月で無理をさせたくなかったし、盗まれたドレアスはジュリアスにそっくりな青鹿毛で額に三日月の白斑があり、左前足内側の付け根にも同じ形のものがあった。
親子と言えど、ここまで似ているのは珍しいので、きっとドレアスを探すのに役に立つだろう。
服装は、あからさまに女が居ると思われるのも何かとトラブルの基にもなり得る事から男物を着用することになった。
兄が子供の頃に着ていたものをまだ幾つか残しておいたはずだと母が探してくれて、その中から着ていく物と着替え用に2着選んで用意した。

3日後、約束道理戻ってきたフリードルは先ずは伯爵へ事後報告に向かった。
書状は無事意中の人物の側近に直接手渡せたと言う事で、伯爵は安堵しフリードルを労う。
しかし、今回の件に関しては多少の疑念もあったようだった。

「先日、王宮の仕事は辞めたと申していたが、今は何をしているのだ!? 候の手伝いをしている様ではないようだが・・・・」

「はい。今は王宮を辞めた同じ志の者達と一緒にいます。詳しい事はお話し出来ませんが己を恥じるような行動はしていませんから父も分かってくれているではないかと勝手に解釈しています」

「侯爵は何も言わないのか!?」

「はい。昔からそうですが、父は私のする事に口を出した事はありません。王宮を辞めた時も“そうか”と、言っただけでしたから」

「そうか・・・・、息子を信頼しているのだな」

「さぁ、それはどうでしょうか!?」

フリードルは苦笑いした。

この者なら心配はしていないだろう。
自分の息子も根は真面目だし心根も優しいし良い息子だとは伯爵も思っている。
しかし、ここ数日のフリードルの行動を見ていたら少し羨ましくもある。

“あいつも、少し物事を軽んじて行動することさえ無ければ申し分ない息子なのだが・・・・”

伯爵は心の中でそっと呟いた。


フリードルは伯爵との謁見を終えるとその足で先ずは居ない間に準備された持ち物を確認する。
準備された物は必要最小限の品々ばかりで感心し頷く。
ローレライの風貌も満足するものだった。

「これは誰の案!?」

「えっ・・・・ランドンが」

「私もそう提案するつもりだった。持ち物も最低限必要なものだけ準備されているし、やってくれたのはこれも彼? 彼はかなり出来るようだね」

ニッコリ笑ってそう言うとランドンに宜しくと手を差し伸べた。
いつもあまり表情の変わらないランドンが少し照れくさそうに手を差し出して握手する姿がとても微笑ましく兄妹は笑みを浮かべてそれを眺めた。

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~ Comment ~

NoTitle 

親子の関係もそれぞれですけどね。
グッゲンハイムみたいに親子の関係が非常に複雑になっていると、かえってほっとく事のほうが愛情に思えるところもありますからね。一概にもいえませんね。

こちらの作品の読了ありがとうございます。
私の方も徐々にすすめていきますのでよろしくお願いします。
亀のようなスピードですいません。

LandM 様 

親子関係はホントに色々ですよね。
グッゲンハイムとはまた違った感じですがこちらでも話の中で数件の親子関係が出てきます。
人間関係、親子関係も色々あるから面白いのだと思います。

作品、楽しく読ませて頂きました。
書くスピードは私も亀とウサギの追いかけっこ状態です(ストック増えたり減らしたり^^;)
お互いこれからも頑張って行きましょうね。
また時間を見つけて寄らせて頂きますね。
いつも有り難うございます。
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