パウリンの娘

パウリンの娘《第21章2》

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ゼロはシザーレ、そしてハビロードと目を合わせると互いに軽く頷き合った。

「有難うございます。では、ご納得頂いた事を前提として伯父上に・・・・いえ、グルバルト家の御当主にお願い致したき義がございます」

「それは私が受け入れられるような事なのか!?」

ゼロは苦笑いした。
どうやら先程の事でかなり慎重になってしまったようだ。

「実は先程の件については私が王宮を去る以前からハビロードを中心に色々調べておりました。しかしその時点では想像の域を超える事が出来ずにいました」

「それはそうであろう」

幾人もの人間が謎を突き止めようと試み、苦汁を飲んできたのだ。

「しかし、知る者は必ずいる筈なのです。直系の王族との結婚が決まった者は何処へ行くにも一人での行動は許されておりません。事実皇太后は婚約して以降一人で出かけられるような事は無かったと聞いております」

「そうだ。王家より護衛の騎士が必ずお身を守り、身の回りの事は我が家の侍女が全てをお世話した」

「そうです。ですが唯一その事を禁じられたの場所があります。神殿内へは途中までの護衛は許されておりますが清め場は神聖なる場所。剣を携える者の入室は堅く禁じられています。同席出来るのは一番近くで仕える侍女のみです」

「何が言いたい!?」

公爵は眉を顰めた。

「予てから私は、その侍女こそが鍵を握る者だと思ってきました。それ故、証言を得ようと所在を突き止め、話を聞き出そうと試みましたが知らぬ存ぜぬで何一つ聞き出せませんでした」

ハビロードが悔しそうにそう告げた。

「調べによるとその者は前王が崩御されるまでの間グルバルト家よりずっと皇太后のお傍に付いてお世話していた筈です。現在グローバル男爵夫人と名乗っておりますが、当時はマリーカ・ログウェイと言う名でした。御存じですよね」

「勿論知っておる。マリーカは私の古い友人であるログウェイ子爵の一人娘だった。不慮の事故で両親を失ったマリーカを私が引き取り世話をした。結婚して10年以上、子に恵まれなかった私達夫婦にとってマリーカは娘同然の存在だった・・・・」

公爵は苦しそうに言葉を吐き出した。

「娘同然の彼女を何故侍女に?」

「マリーカの希望だ。王の花嫁となる者の教育係を拝命した折、新しい侍女を募ろうと話しておったら自分にやらせてほしいと自らが願い出た。これ以上世話になるのは心苦しい。我が家の役に立ちたいと・・・・。王妃の侍女ともなれば将来的に良縁も望める。妻と相談して私は娘を嫁に出す気持ちで王妃様に託した」

「ならば29年前、あの神殿で何があったのか話して頂けるようにお口添え頂けないでしょうか!?」

「マリーカとは既に縁を切っておる。グローバル男爵のような腹黒い者と結婚しおって! あのような者と結婚させる為に私達夫婦は王妃様の許に託したのではない。心優しき娘であったのに・・・・」

寂しげなその瞳に公爵がどれ程マリーカ嬢を慈しんで育てていたのかが汲み取れた。

「マリーカ嬢は前王崩御の後、早い段階で侍女の職を辞しております。私はグルバルト家へ戻るつもりだったのではないかと示唆しているのですが・・・・」

「我が家へ戻る所か何の相談も無く直ぐに男爵との結婚も決めてしまった。既に身ごもっていると聞かされては反対も出来なかったが、私達夫婦が当時どれだけ傷ついた事か・・・・。あの時、子供に恵まれていなければ私たち夫婦は立ち直れなかっただろう」

そこまで話を聞いた時、ゼロは何処か違和感を覚えた。

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~ Comment ~

NoTitle 

秘密の匂いが…^m^

ああん!二人が出てないと(いやいるけどさ…笑)
寂しい(><)

はのん様 

おお!鋭い!!

期待の場面はこの展開では暫く無いかも・・・・(確かにいるんだけど(苦笑))

その内また出て来るのでしばらくお待ちください(笑)
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