パウリンの娘

パウリンの娘《第21章3》

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どうも腑に落ちない。

「こちらにいらした頃のお話をお聞きする限り、マリーカ嬢は我の強い私利私欲に走る者を好むような方には思えませんが!?」

「私も男爵と共に我が家へ挨拶と称し現れた時は我が耳を疑った。だが・・・・きっと長い王宮暮らしの中で変わってしまったのだろう・・・・」

マリーカ嬢、もとい男爵夫人とは面識は無いが、グローバル男爵は見知っている。
皇太后の遠縁にあたる者らしく前王の死後王宮の人事に携わっている。
皇太后は前王の死後挙って身内の者を傍に置いた。
その中でもグローバル男爵は抜きん出ており、旧体制改革の手腕は大したものでかなり気に入られている様だった。
横暴なやり口で今まで多くの人材を切って行った。
気に入った者は貴族の有無に関係なく重用し、自分に痣となす者は爵位を持とうが関係なく悉く排除して行くゼロが最も嫌う私利私欲が服を着て歩くような輩だ。
おまけにかなりの好色で夫人との間以外にも庶子が何人もいると言う噂さえある。
普通の神経ではあのような男の夫人の座はおさまらないであろう。

「どう思う!?」

「現在の夫人の人となりは推察できないが、王宮に上がるまでのマリーカ嬢の発言は人としての良識を備えた人間に思える。その様な者が理由もなくあの男爵と婚姻を結ぶとは到底思えんな」

シザーレが告げたその言葉は自分が思うものと同じだった。

「調べてみる必要がありそうだな」

ゼロはハビロードの方を向きそう告げた。

「お任せください一両日中には必ず!」

そう告げるとハビロードは屋敷を後にした。

「どう言う事だ!?」

公爵は甥の取った行動が全く理解できなかった。

「グローバル男爵には黒い噂が幾つもあります。もしかしたら夫人はその被害者なのかもしれません」

「何だと!?」

「あくまで勘と言いますか、まだ私の想像の範囲です」

「ですが、こう言う事に関してアイスラントの勘は先ず外れない。我々の見解が・・・・」

「おい。そこまで言うのはまだ早い」

「そうだな。公爵、失礼致しました」

シザーレは公爵に頭を下げた。

そこにザビーネが口を挿んだ。

「2、3年前だったかしら? 王宮で懐かしいお顔を見かけて声を掛けた事があるわ。マリーカはかなり疲れている様子だった。以前のような明るさは無いけれど、とても良識あるご夫人に見えたけれど・・・・」

そのザビーネの言葉にハッとした公爵は何とも言えぬ、何かを耐え忍ぶような表情を浮かべた。

「・・・・宜しく頼む・・・・」

その言葉は全てを物語っていた。
公爵のマリーカ嬢に対する愛情は、未だ失われていないと・・・・。

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