パウリンの娘

パウリンの娘《第21章5》

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フリードルは怪訝な表情を浮かべていた。

「笑わないで下さい。これでも聞き出すまで必死に耐えたのですから!」

心底嫌そうだ。

「悪い。で、そこまでした成果とは?」

「グローバル男爵と夫人の仲は既に冷めたものだそうです。元より一方的に男爵が熱を上げていての求婚だったようで、結婚前に軟禁疑惑まであったそうです」

「軟禁疑惑だと!?」

「はい。男爵からの申し出を何度も断り続け、侍女を辞める事が決まり、荷物を纏めて城を出て行くその足で男爵が連れ去り軟禁したと・・・・」

ゼロは直ぐに二の句が継げなかった。

「・・・・それで・・・・、その後妊娠が発覚し結婚したと!?」

「はい。そう言う事だと思います。当時、“子供さえ授かればこっちのものだ! まさか自分の子を殺すような真似は出来ないだろう”と、男爵が公言した事を聞いた者がいるとか・・・・」

「最低だな!」

「はい」

全くなんと言う愚か者だ!
旧体制下なら間違いなく投獄されて極刑は免れない。
少し探りを入れただけでこの様な情報が噂話として漏れる程、既にこの国は衰退しているのだ。非道な行いが許され、罷り通る国。
そして、仮面舞踏会と称して度々行われているであろう不純な夜会。
自分が政権を握った暁には悉く排除してやるとゼロは己に誓った。

「他には!?」

「・・・・すみません・・・・。それ以上は無理でした・・・・。意を決して挑んだつもりではいたのですが、こう言う事には私は向かない様で、作った様な厚化粧とキツイ香水の臭いで今にも卒倒しそうで・・・・」

その上、どうやら夫人に迫られて逃げ出したようだった。

「それで、その臭いか。お前もまだまだだな」

「・・・・面目次第もございません・・・・」

フリードルは情けなさそうに深々と頭を下げた。

「まぁ、分かる気もするがな」

フリードルの肩をポンっと叩くとゼロが労うようにそう告げた。
己自身も、聞いた夫人を想像するだけで反吐が出そうな程だった。

「まぁ、良い。今回の事でお前が、この手の潜入捜査には向かない事は良く分かったが、せっかく手に入れた収穫だ。その夫人が何処の奥方か分かっているのだろうな?」

「・・・・それは無理でしたが、到着し、仮面舞踏会と分かった時点でサビエルとミゲルには出入りする馬車の座席の紋章をチェックするように指示しました。支部に戻り次第報告書に記載するように言っておりますので、今後の役に立つかと」

「流石だな」

「今は何の権限も持たぬ身ですが、何れあのような輩は裁きを受けるべきです!」

自信に満ちたその瞳にゼロはフリードルが自分の育てた者の中で一番己を理解し成長してくれている事を実感し喜ばしく思った。

「後はハビロードか」

「はい。この時刻では今夜は聞き取り調査もままなりませんので本格的には明朝から結婚後の夫人の様子を手分けして探るそうです」

聞き終えるとゼロは大きく頷いた。

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