パウリンの娘

パウリンの娘《第21章7》

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グルバルトの屋敷へは午後からと、こちらから指定した。
ハビロードに託したブレイドとの計画は滞りなく進んでおり、その手には書状が託されていた。

「夫人の方は大丈夫なのだろうな!?」

「はい。午前中慰問に行かれるのみで正午には戻られるとの事でしたので」

「男爵の帰りは!?」

「明日ポロの試合があるとかで、今日は出仕後会場となるバルシナ伯爵邸へ泊まられるとの事です」

ハビロードの調べではここ数年男爵は週の半分を付き合いと称して余所に泊まり歩く生活を過ごしているらしい。
可愛がっていた娘も大きくなり、事の道理が理解できるようになり男爵に寄りつかなくなったようだ。
顔を合わせる度に娘から小言を囁かれるのでは己の屋敷とは言え、居心地は悪いのだろう。
屋敷の者達もこの18年の間に男爵より夫人を擁護する者が多くなったと言う。

「自業自得だな」

この話を聞きゼロは言葉を吐き捨てた。


午後の食事を済ませるとゼロを始めとするする面々はグルバルト公爵邸に集まった。

「すみません。ハビロードが所用で少し遅れますので、受けた報告は私からお話しさせて頂きます」

そう告げるとゼロはハビロードより伝え聞いたマリーカ嬢がグローバル男爵夫人として背負った18年間の出来事を公爵に伝えた。
皇太后に侍女としてのお暇を頂き王宮を出ようとして男爵に拉致された事、望まぬ結婚であった事、そして現在の日常を。

公爵はその内容に二の句が告げられず、ただ打ちひしがれている様だった。

「伯父上、これでも男爵夫人、いえ、マリーカ嬢が変わられたとお思いですか?」

「・・・・私は知らぬとは言え、何と言うひどい仕打ちをマリーカにしてしまったのか・・・・」

頭を抱え、唯々悔いるように苦しげに言葉を発した。

「おそらくマリーカ嬢は酷い仕打ちとは思っていなでしょう。当時の状況と本日までの行いを見ていますと己が悪者になる事で公爵家を守ろうとした。その様に感じてなりません」

マリーカ嬢は恩を仇で返す様な愚か者では無い。
それはこの話を聞いた全員が、きっと思った事だろう。

「マリーカに会いたい・・・・会って一言詫びたい・・・・」

公爵がそう呟いた時だった。
応接室の扉がノックされた。

「遅れて申し訳ございません。ハビロードです」

その声にブレイドが応接室の鍵をカチャリと回し扉を開いた。

「ご苦労様でした」

ブレイドはそう告げるとハビロードと目を合わせ互いに頷き合うと後ろに従える夫人に一礼した。

「良くお越し下さいました。どうぞお入りください」

そう告げ、息子が招き入れた者の姿に公爵は言葉を失った。

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