パウリンの娘

パウリンの娘《第5章2》

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翌日、早朝から屋敷の中は慌ただしかった。
陽が昇る前には発つと昨夜フリードルから言われた為、朝食は4時だと言うのにいつもより豪華なものが用意されていた。
朝からこんなに食えないとルシオンが呟くと、フリードルから次は真面な食事にありつけるか分らないから無理してでも食べられる時に食べておくように言われた。
ローレライも兄と同じ気持ちだったが、フリードルがそう言うのならば出来るだけ食べておかなくてはといつもより多く口に運んだ。

朝食を終えると皆で厩屋へ行き、一緒に旅する馬達の体調を確認する。
どの馬も問題はなく、最後に取り付けてある馬具の最終点検をし、いよいよ騎乗する。

「ドレアスは必ず見つけ出してくるから」

そう、アドレアに約束すると、心配そうな両親や家の者に見送られながら4人はイシュラルを後にした。


目的地のトランゼの街はイシュラルから120マイル以上ある。
通常荷物を持ち騎乗した馬が一度に走れる距離は12マイル~25マイル程度。
馬の力量によって差は大きいが、ジュリアス以外は皆既に長旅の経験があり25マイルの疾走は十分可能だ。
ジュリアスは見た目の馬体のバランスも良いく、足の蹴り具合もしっかりして安定している。
持久力も全く問題なさそうだった。
初めての長距離だと言うのに、その余裕ある軽やかな疾走は疲れも感じさせず、他の馬より余裕があるようにさえ見える。
フリードルは25マイル所かそれ以上は軽く疾走可能だろうと考えていた。
馬の体調にもよるが、出来れば昼間少し長めの休息をとり、今日中に46マイル先のサングリアの街まで行ければと考えていた。

当初、フリードルが書状を手渡しイシュラルに戻りながら考えた計画では、そこまで馬達を強行させるものではなかった。
しかし、いざ戻りローレライから連れて行こうと思っている馬だとジュリアスを紹介された時に状況が変わった。
ジュリアスの特徴がフリードルの知るある名馬にとても良く似ていたのだ。

初代サランドル王が愛馬として騎乗したと伝えられている名馬は青鹿毛に額のくっきりとした三日月の白斑の馬であったと言われおり、ジュリアスはその馬の特徴とあまりに酷似していた。
先王の時代までは額に三日月の白斑の馬は足も速く、持久力もあり、頭も良い三拍子揃った名馬で王家の馬として珍重されていた。
フリードルの知る限り、額に三日月の白斑の外見を持つ血統馬の主は何れも王族に近い貴族数名だけで、しかもその中に青鹿毛の馬はいなかった。

“それを何故ローレライが!?”

10歳の誕生日に母の友人から馬をプレゼントされたと言う話は以前から聞いてはいたが、まさかそのような風貌の馬だとは思ってもいなかった。

ジュリアスの為と言うだけではないが、サングリアは大きな街だし信頼できる馬屋の管理も整った常宿もある。
そう言う場所でないと安心できないと考えていた。

仔馬の失踪をローレライもルシオンも単純な物取りだと決めつけていたが、フリードルは盗まれた仔馬が父であるジュリアスとそっくりだと知ると、事はそう単純なものではないと確信めいたものを感じていた。
馬の血統が事件に関係しているのであれば、事はきっと簡単には済まないだろう。

「厄介だな・・・・」

フリードルは馬を走らせながらジュリアスの風貌を見ると苦笑いした。

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~ Comment ~

NoTitle 

いよいよ出発ですね!!!^^
どうなっていくのか楽しみです♪
早く問題勃発、解決してほしい~~(笑)

HANON.H 様 

やっと出発しました^^
問題は中々これが色々あってね~^^;
長引くけど、その間に気付けば6章である人が出てきます♪
お楽しみに~~(笑)

NoTitle 

距離の単位はマイルなんですね。
この辺はモデル世界が参考になっているんでしょうね。
グッゲンハイムは作者の地理の貧困さからキロ・メートルですねえ。。。

LandM様 

はい、距離の単位はマイルです。
架空のものを作りたい気持ちもありましたが、それだともっと伝わりにくくなるので、モデルの世界の単位や通貨食べ物や飲み物も似通ったもので表現しています。
私も地理の単位に詳しくはないのですが、キロ・メートルは何だかイメージにやはりそぐわない気がして拘ってしまいました。なので、色々調べての計算表記です。
そこまで気にされる方もそういらっしゃらないかもしれませんが中途半端なものにはしたくなかったので。。。結局自己満足なだけかもしれませんが^^;

お忙しい中、いつも有り難うございます。
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