パウリンの娘

パウリンの娘《第22章3》

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全てを知った時、これは私の罪だと思った。
姫様の願いを受け入れてしまった自分の・・・・。

「おじ様はその者が王になる事をお望みなのですか?」

「運命の導きだけではない。それが無くとも現王が退かれたとして今後王族の中から新王に誰を推挙するかと尋ねられたら私は迷うことなくアイスラントを押すだろう」

「伯父上!?」

ゼロは伯父がそのような事を考えていたとは思いも寄らなかった。

「前王の御姉弟は弟君のバラサインのザンゾール公と、姉であるこのザビーネだ。ザンゾール公を推挙した所で恐らく治世は長くは続かない。ならば子息をと思えばザンゾール公の所は良い噂はない。好色が目に余るともっぱらの評判だ。その点ザビーネの息子のアイスラントは浮いた話も無く、幼き頃より自ら鍛錬の道を選び最年少で騎士副団長の地位まで上り詰めた。現王制に異議を唱え正道を進むべく新たな道を自ら目指した。多くの者にも慕われ何の申し分も無い。それに現宰相子息でもある。これ以上の選択は無いと思わぬか?」

確かに言われてしまえばその通りだ。
この者の先程からの言動は全て正当だ。
国がどうにかなるなんて、急には信じがたい出来事ではあるが、おじ様が言っている以上それは大げさな事では無く近い将来きっと有り得る話なのだろう。
夫人は大きく息を吸い込むと深いため息をついた。

「ここにいらっしゃる方は皆アイスラント様が新王になられる事を望んでいらっしゃるのですね? 何があっても他言はしないとお約束して頂けますか?」

「勿論だ」

ゼロをはじめ、皆も大きく頷いた。

「この事は夫も誰も知りません。知っているのは皇太后様だけです。私はこの事は墓の中まで持って行くつもりでおりました」

暫く長い沈黙が続き、そして夫人が重い口を開いた。

「ご推察道理、現王は神官に勤めていらっしゃるアンデルド・サイナー氏の御子だと思います」

皆が大きく息を飲んだ。

「皇太后様とアンデルド様は幼き頃、面識がお有りのようでした。何処で出会われたのか存じませんがお互い淡い想いを抱いておられたのかもしれません。お清め場はいつも楽しそうで、あのように楽しそうな姫様は初めてでした。でも、姫様もこのままではいけないと気付かれて途中で自ら人を変えて欲しいと申されました。そして最後の日、少しで良いから二人きりにさせて欲しいと。自ら自嘲しようとなされていたので、あのような事になろうとは思いも寄りませんでした・・・・」

「二人きりにさせたのか!?」

「・・・・はい・・・・」

夫人の目には後悔の念だけが映し出されていた。

「婚礼ひと月前、王宮に入って直ぐでした。姫様から月のものが遅れているとご相談されました。もぅ私一人では抱えきれませんでした。このままではおじ様も王様も裏切る事になる・・・・。私は首を斬られるのを覚悟で王様に全てを告白しました」

「王は知っていたのか!?」

「はい・・・・。そして、こう申されたのです。『罰が当たったのだな。これは全てを隠し、式を挙げようとしていた私の罪だと』」

皆、何が何の事だかさっぱり分らず、唯々夫人を見つめた。

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