パウリンの娘

パウリンの娘《第22章4》

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姫様の過ちは自分の責任だ。
婚約が調い、相手は国の王様。今更破棄になど出来ない事は姫様も重々ご承知だからあの者を遠ざける事を決められたのだ。
きっともぅ会う事もないだろう。最後ならば少しぐらい二人だけにさせて良い思い出を作って貰いたいとなど後先も考えずに思ったのは自分。
そして、それは結果として一番酷い形で王様を裏切る事になってしまった。
どうして良いか分らなかった。けれど何としても姫様は守らなければと思った。
もしかしたら間違いかもしれないし暫くこのまま様子を見ましょうとだけ姫様に告げた。
更に数週間が過ぎた頃、月のものも滞り、悪阻を思わせる症状も出始めた事から事実を知らぬ他の侍女の間でもご懐妊されているのではないかと言う噂がささやかれ始めた。
もぅ王様に隠してはおけないと思った。
嘘をつきとおす事は不可能だった。
まだ王様と姫様間には何もないのだから・・・・。
何も出来ずに手を拱いていた所で、事実は曲げられない。
だから覚悟を決めて王様に報告した。
しかし、王様から返って来たのは思いも寄らぬ言葉だった。

王が背負わなければならない罪とはいったい何なのか?
贅沢を好まず、民を重んじ、領民に慕われ続けた王の何処に罪があると言うのだろうか?
ゼロはその言葉の理解に苦しんだ。

「当時の私には何故そのような言葉を王様が口にされたのか知る余地もありませんでした。王様は自らの主治医を姫様に宛がい妊娠が確認されると全ての取り決めが行われました。そして最後にこう申されたのです『その子は私の子だ。二人の子として育てよう』と・・・・」

「シルベラント・・・・」

ザビーネは弟を思い震える声でその名を呼んだ。

「普通には考え難いですし、私は最初我が耳を疑いました。ですが姫様は涙を流されて、王様の広いお心に触れ、これからは心身ともに王様をお慕いし尽くそうと申されておりました。事実ご結婚後はとても仲睦まじく、私は直ぐに王様の本当の御子にも恵まれると思っておりました」

「だが、生まれなかった」

「はい」

「王妃様となられて7年目の事でした。一向に王様との間に御子が恵まれない事を以前からお気にされていた王妃様は王様の主治医の許を訪れました。王様に何か原因がおありではないかと。原因があるならば調べて良くして欲しいと」

「原因がおありだったのか?」

「王様は子供の頃に伝染病に侵され、生死をさ迷った事がお有りの様で・・・・」

皆がザビーネを見る。

「ええ。確かに・・・・。でも、隣国より届けられた貴重なお薬で回復に向かわれて良くなられたわ」

「はい。当時、治療法も今ほど確立されておらず、助かる者も少なかった事からその後の病における後遺症の認識も薄かったようです」

「後遺症!?」

「はい。即位して間もなくその後遺症の可能性を主治医より示唆されたそうです。気になり他国から専門書をお取り寄せになり色々調べられたそうです。未だに世間一般にはあまり知られておりませんが成長期にその病に侵された者は御子が望めない者が多いと・・・・」

「なっ!!」

ゼロは吐きかけた言葉を押し込んだ。

「そんな事って・・・・」

ザビーネが震えながら両手で口を追おうと、宰相はそっと妻の肩を抱き寄せた。

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