パウリンの娘

パウリンの娘《第22章5》

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衝撃的な事実に皆が息を飲んだ。

「もぅ黙っておられるのは無理だと思われたのでしょう。王様は主治医を伴い王妃様に事実を告白されました。王妃様は酷く落胆されて、その後次第に王様の優しいお心も疑われるようになって行かれました。お二人の関係は今までとは違う方向に向かわれ、王様が亡くなられる少し前には王様との間に御子が望めないかもしれないと分かっていればあの時、何と思われようと城を出ていたとまで言われるようになりました」

何が正しい事だったのか!?
如何する事が一番良かったのか、今となっては何を言っても虚しいだけだ。
 
ゼロの記憶にある前王夫妻は確かに幼少期の記憶の中では笑顔が多かった気がする。
現王とは1つ違いの従兄弟と言う事もあり、母は幼少期良く王妃様に誘われたと自分を一緒に王宮へ連れて行く事があった。
当時皇太子だった我王とお茶を楽しむ母等の傍らで何か一緒に遊んだ記憶もおぼろげだがあった。
それがある頃を境に王宮へ行く事が無くなった。
丁度公爵家の後継者としての教育が始まった頃と重なり、漠然とその為だと思っていたが、今考えるとその頃と前王夫妻の関係が変わって行った頃とがリンクする。
当時何の疑問も持たなかったが、そういう経緯があったのだとゼロは初めて知った。

叔父である前王が崩御されたのはゼロが10歳の時だった。
葬儀に参列する母やバラサインの叔父を見る王妃の目は冷ややかなものだった。
久し振りに会う従兄は、身体だけは大きくなったが幼少期のわずかな記憶と重なった。
父王が亡くなったと言うのに式典の間ですらずっと座って待っている事も出来ず、喉が渇いた、退屈だと我儘放題だった。
10歳にしてゼロはこの時、国の未来に初めて不安を覚えた。

「前王お抱えの医師は、王の死後、間もなく罪の意識に苛まれたのか自害したと聞きました。私も罪の重さを抱えきれず、王宮を出てこの事実をおじ様にお伝えし今後の身の振りを御相談しようと思っておりましたが・・・・、それが許されぬ状況となりました」

「・・・・マリーカ・・・・」

言葉を詰まらせた夫人に優しく公爵が声を掛けた。

「これは私に与えられた罰だと思いました。身ごもった事を知らされた時、全てを受け入れる覚悟をし、男爵の許に嫁ぐ決意を固めました。それが今までおじ様にお話し出来なかった私の四半世紀です」

「神殿にいるアンデルド・サイナーはこの事を知らないのか!?」

「どうでしょうか? 私が知り得る限りではお二人はその後、王様が崩御されるまで一度も会われておりません」

「直接会わずとも諸々の式典で神殿には何度も出入りしている筈だ。あの瞳の色が神殿内で噂にならぬ筈が無い。既にあの王が自分の息子だと気付いていても当然ではないのか!?」

「どうでしょうか?・・・・」

知っているのは間違いないだろう。そうでなければ全てが可笑しい。
神官長のマティアスを始め副官のゼグストそして特にサイナーは気付いた筈だ。
そうでなければあの年齢でサイナーが隠居生活を送り、息子に後を託すなど考えられない。

「お話し頂いて感謝します。辛い事を思い出させてしまい申し訳ありませんでした・・・・」

ゼロはそう告げると夫人に深々と頭を下げた。

「いえ。何だか気持ちが楽になりました。ずっと罪の意識に苛まれておりましたので」

「そうですか? その様に言って頂けると助かる。こちらの都合ばかりで申し訳ないのだが、もう一つ頼みたいことがある」

「何でしょうか?」

「今後、王とは内々に交渉の場を作り、出来るだけ穏便に話しが進むように試みるつもりではいる。その時、証人と言う形で同席を願えないだろうか?」

その言葉に、夫人は思わず目を伏せた。

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~ Comment ~

NoTitle 

秘密が明かされてました~^^
いいね~FTって感じで~^^b

読むのは楽しいんだけどなぁ~^^;
自分はなかなか進めないデス…(苦笑)

はのん様 

はい。ついに真相が明かされました^^
しみじみ感じて下さったようで良かったわ♪(ホッ)

確かに読み入って書くのが疎かになる事私もありますが、(先日それで焦った)また、ストックためての繰り返しです(笑)
パウリンは先が見えてるからしっかり書けるけど、たまに新作に手を出したら全然進みません^^;
新作、ホントに大丈夫だろうか!?(苦笑)
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