パウリンの娘

パウリンの娘《第22章6》

 ←パウリンの娘《第22章5》 →パウリンの娘《第22章7》
目が泳いで落ち着かない夫人に公爵が声を掛けた。

「マリーカ!?」

「あの・・・・私は・・・・その件に関しては・・・・」

あれ程罪の意識に苛まれ、素直に話し認めてくれていた夫人が突然言葉を濁した。

「どうしてだ!? 全て本当の事ならば協力してやってはくれないか?」

公爵は夫人の話を聞き、更にこちらに対し協力的な態度だった。

「・・・・・」

しかし、幾ら公爵に問われても夫人は無言のままで、首を縦に振ろうとしなかった。


辺りに不穏な空気が流れ始めた時、口を開いたのはハビロードだった。

「ご心配なのはお嬢様の事ですか!?」

俯き加減だった夫人の顔が突如ハッとし、上を向いた。

「・・・・・」

それでも、無言を決め込む夫人に対しハビロードは誰にも触れられたくなかった過去の話を口にした。

「・・・・私には妻と幼い息子がおりました。年々膨らむ増税に苦しみながらも月の給金で何とか税を納め、日々の生活を営んでいました。ある日給金が予定日に支払われず、数日遅れて帰宅すると体中傷だらけで幼子を抱え込み既に冷たくなった妻の姿がありました。僅かに息のあった息子も助けられませんでした・・・・。税の支払いが数日遅れたばかりに取り立てに来た者に暴力を振るわれたのです。それが今のこの国の現状です!! 貴方は自分の娘さえ助かれば他はどうなろうと構わないのですか!? こうしている間にも税に苦しみ命を落とす者は大勢いるのですよ!!」

ハビロードは奥歯を噛みしめ悔しそうに震える拳を握りしめ、自分を必死に抑え込む。

「知っているか? 今この国で民が一番恐れているのは何だ思う!?」

ゼロが夫人に尋ねた。

「・・・・増税!?・・・・」

重々しい口調で夫人は答える。

「上辺だけを捉えている者の答えだな。それもあるだろうが、今すぐと言う問題では無い。ここまで来れば更なる増税が課せられれば、間違いなく次は暴動が起きるだろう。起きるとすれば春以降だ。今民が一番恐れているのは子を儲ける事だ」

「!!」

「今やっとの事で辛うじて税を納める事が出来ている者が大半だ。そこに子が産まれてみろ。更に一人分の人民税が加算される。民にはもぅ支払う余裕が無いと言う事だ。育てられないからと上の子を下働きに出す者もいるが、家畜以下のかなりひどい扱いを受けている者もいるらしい。故に嫌でも年々民の結婚年齢は上がるばかりだ。おまけに窃盗絡みの犯罪は日常茶飯事だ。地方では貴族の屋敷も多くやられている。もぅ立ち止まる事は許されない。貴方が協力してくれないのならば即実力行使をするまでだ」

「実力行使!?」

「略奪は好まないが、止むを得ずそう言う事もありゆると言う事ですよ。王の首を我々が取って、アイスラントを王座に据える。それだけの事です」

シザーレが不敵に微笑みそう呟いた。

良かったらポチッとお願い致します^^

にほんブログ村


総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【パウリンの娘《第22章5》】へ
  • 【パウリンの娘《第22章7》】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【パウリンの娘《第22章5》】へ
  • 【パウリンの娘《第22章7》】へ