パウリンの娘

パウリンの娘《第22章9》

 ←パウリンの娘《第22章8》 →パウリンの娘《第22章10》
いつものお嬢様では無い。また何か不安がお有りなのだと言う事を、直ぐにランドンは感じた。
兄であるルシオン様の従者ではあるが、一時期とはいえ兄妹同然に接していた時期もある。それ位の事は自ずと理解できた。

「ゼロ様がご心配なのも分ります。傍にいたいと言うお気持ちも理解できます。ですがお嬢様が傍にいる事で今回それか本当にゼロ様の助けになるとお思いなのですか? 冷静になって下さい。もし、万が一交渉が決裂すれば王は保身の為に交渉に赴く者達を一掃しようとなさるかもしれません。この様な危険な場では本来我が身は己で守る事が鉄則です。守れない者は死を覚悟して挑まなくてはならない。今回の交渉とはそのような場なのです。男爵夫人は証人と言う形ですのでこちらが擁護しなければならない立場ですが、それ以外の目的で御身を守れない者を連れて行くことは最も危険なのです」

「私にだってそれ位の覚悟はあるわ!! 剣の使い方だって教えて貰った。連れて行って貰えるなら自分の身位自分で!」

「守れる訳が無いだろ!? 城にどれだけの兵が居ると思っているのだ!?」

「・・・・それは!!・・・・」

「連れて行く者はブラックナイトの中でも精鋭とされる腕に覚えのある者数名と既に決めている。一人でも雑魚相手なら50人は軽く倒せる連中だ。フリードルは支部を任せてあるから連れてはいけないが、いざと言う時は他の者を引き連れて別働隊として援護に回って貰う手はずだ。それに比べてお前は自分の腕をどれ位だと思っている? そのか細い腕で50人を倒せるとでも思っているのか!?」

「・・・・・」

そこまで深くは考えていなかった。
無謀な事も頭では分かっているが、どうしても感情がついて行かなかった。

「町の荒くれ者相手なら牽制程度にはなれたとしても、城の中にいるのは日々訓練を重ねた兵士だ。お前の腕等剣を交える前に腕を捩じ上げられてそれで終わりだ」

「レライ、お前が行くって事は、ゼロの身を危険に曝すって事だよ。レライに何かあった時ゼロが放置できる筈が無いだろ!? 身を挺しても守ろうとするよ。それともレライはゼロをもっと危険な目に合わせたいの!?」

「そうですよ。ですから、お嬢様はゼロ様を信じて支部でお待ちしているのが一番です」

「待っていてどうなるの!?」

「はぁ!?」

「傍にもいられない、助ける事も出来ないのなら、何の意味も無いじゃない。パウリンには交渉での事なんて映し出されていないの。何の役にも立たない私ではゼロが必要としてくれる筈ないじゃない!!」

不安に押し潰されそうになり、思わず言葉を吐き捨てた。

「・・・・本当にそう、思っているのか!?」

冷ややかなゼロの言葉に一瞬背筋に何かが走った。

「だって・・・・」

「お前は私の気持ちを全く理解していない。パウリンの力等関係ない。パウリンを介してでなければお前との関係を私は築けないのか? 滑稽だな・・・・。とんだ茶番だ。期待していた己が愚かしい・・・・」

苦笑いを浮かべ、己を戒めるように吐き捨てたその面差しは、とても寂しげだった。
深いため息をつくと、ゆっくりと歩き出し部屋の扉を開いた。

「明日は支部へ帰る。仕度だけはしておけ」

立ち止まり、ローレライと目線を合わせないままそう告げるとゼロはルシオンの部屋を後にした。

良かったらポチッとお願い致します^^

にほんブログ村


総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【パウリンの娘《第22章8》】へ
  • 【パウリンの娘《第22章10》】へ

~ Comment ~

NoTitle 

ああん~!
もどかしい~~!(笑)
ゼロくんそこでもう一言足らんのよ。
…だからもどかしいんだけどね(笑)

ジレジレいいよぉv-238
すれ違い大好物~^^b

HANON.H様 

そうそう、ゼロは最後の一言が中々なのよね。ってか、それ言ったら最後変わるから!(笑)
もぅ今度はローレライの頭がグルグルです^^;
さぁ、この後どうしようか・・・・。
今書いてるバージョンで行こうか、延ばすか?(笑)
トラブル(LAN)あってパニクッて午前中出来なかったから午後からとりあえず頑張るわ!

お互い頑張りましょうね♪
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【パウリンの娘《第22章8》】へ
  • 【パウリンの娘《第22章10》】へ