パウリンの娘

パウリンの娘《第22章14》

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兄に言われた言葉に勇気を貰い、大きく深呼吸するとそっと目を閉じた。
そして暫く心を落ち着ける事だけに集中した。
ゼロから贈られた指輪に祈りを込め、その手でそっと胸に吊るされたパウリンに触れギュッと堅く握り絞めると言葉を口にした。

「私、怖かったの・・・・。まだ大してゼロの力にもなれていないし、重要な時こそパウリンの力は必要なのに何度見ても交渉の場面は全然パウリンには映ってくれなくて・・・・。ザビーネ様は今までの事、何でも覘けていたわ。それに対して私は何て無力なのだと思い知らされたの。そう思えて来たら、私なんてゼロの傍に居させてもらえる価値がないように思えて来たの・・・・」

俯き、ゼロの顔が真面に見れぬまま話していると、急に強い視線を感じた。
けれど、とても顔を上げる勇気が無かった。

「そのように思いはじめたら今度は凄く怖くなって来てしまって・・・・。でも、どうしてもゼロに必要とされたかったの・・・・。このような私では何の価値もないって分かっているわ。ゼロの傍にいる意味なんて無いと思う・・・・。おっ、烏滸がましいかもしれないけれど、それでも私はっ」

ふわっと肩に暖かいものがかけられて、顔をあげるとその腕に抱き寄せられた。

「価値がないなんて言うな・・・・」

外装をローレライの肩に掛け、切なげにそう告げるゼロの言葉に心が震えた。

「ゼロ・・・・」

「意味が無いとか、烏滸がましいなんて思う必要は無い」

「でも・・・・」

「私には、お前が必要なのだ。力なんて関係ない」

瞳の奥から涙が溢れ出すのを感じた。

「私は心が狭い人間だな。お前の気持ちを分かろうともせずに、自分の言い分ばかり並べ立ててしまった。許してくれるか?」

「・・・・・」

優しい言葉に涙が溢れ出し、心が震えた。
嗚咽で声が詰まって上手く喋れない・・・・。

ローレライは大きく首を振った。

「駄目か!?」

不安に満ちた瞳で切なげにそう告げられては、もぅなすすべは無かった。
緩みきった涙腺はもぅ止まらない。

「・・・・ち・・・・が・・・・」

上手く喋れず、再び大きく首を振る。

「?」

「わた・・・・が、わる・・・・の・・・・」

「えっ!?」

「わ・・・・たしが‥‥悪い・・・・の・・・・ゴメ・・・・ナサイ・・・・」

嗚咽で上手く言葉が通じたのか分らず、その代わりにローレライはゼロの背に腕を伸ばして自らギッュッと抱きしめた。
ゼロはそんなローレライを再び力強く抱き寄せると頬に伝う涙にそっと口づけた。

「待っていてくれるか?」

「・・・・はい・・・・」

素直に言葉を口にした。

ゼロの温もりを肌で感じながらローレライの心は時がこのまま止まって欲しいと叫んでいだ。

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