パウリンの娘

パウリンの娘《第23章4》

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ルシオンは男伊達らにキッチンに入り浸っていた。

「お兄様、お願いですから邪魔はしないで下さい」

「邪魔はしていない、手伝っているだけだ。えっ~~~とこれは、何処だっけ?」

「もぅ良いですから、私がやりますから」

「いや、良いって。俺暇だから、これ位させてよ」

そう言ってサンドラの持っていたお皿を奪い取り、ルシオンは棚にしまおうとした。

「あっ!!」

“ガシャ~~~ン!!”

「・・・・ゴメン‥‥」

無残にも洗い終え綺麗に拭き上げられたばかりの皿が重ねた分だけ床に落ち割れてしまった。
それを鷲掴みに拾おうとするルシオンを見てギョッとしたハビネス夫人は声を荒げた。

「触らないで下さい!! むやみに触っては怪我をします!!」

「えっ!? イタッ!!」

振り向いた拍子に止めた手の指先が破片に触れた。
指先からじわじわと血が滲んできた。

「ほら、言わんこっちゃない・・・・」

夫人は呆れてため息をついた。

「無知すぎるわ。重ねたお皿らを傾けてしまったら滑り落ちるに決まってるじゃない。これだから良いとこのお坊ちゃんには任せられないのよ」

半ばあきれ顔でサンドラはルシオンを見つめる。
子爵令嬢のサンドラがルシオンに対し良い所の坊ちゃんと表現するのは適切ではないのかもしれないが、二人を見ていると妙に納得してしまう。

「ごめん・・・・」

「もぅ、仕方ないわねぇ。いらっしゃい。どうせ治療なんかも自分じゃできないんでしょ。悪いけど、ここお願いね」

「あっ、はい。すみません。お願いします」

ローレライはまた兄が手間をかけてしまった事を申し訳なく思い深々と頭を下げた。

兄が割った皿の破片を拾い上げようとしたらハビネス夫人がそれを制した。

「ここは私が片付けますからローレライ様は納戸にしまってある予備のお皿をチェックして頂けますか? 足りないようでしたら買い出しの時に揃えないといけませんので」

「はい。分りました。すみません、兄が余計な事をしてしまって・・・・」

「ホントに分り易い方ですねルシオン様は。見ていて楽しいわ」

皿を割られてニコニコ顔のハビネス夫人にローレライは首を傾げた。
何がそんなに楽しいのだろうか?

「ローレライ様はお気付きでないのですか?」

「何がでしょうか?」

「サンドラ様も気付いてないようですし、貴族の御令嬢と言うのはこんなに疎かったかしら? 私の知っているお嬢様方は結構こう言う事には敏感でしたけれど」

夫人は新鮮な感覚で何だかとても楽しいわと鼻歌交じりで皿の破片を拾い集めている。
ローレライは疑問を抱きながらも、とりあえず夫人に言われた皿の在庫を確認しようと納戸に向かった。

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