パウリンの娘

パウリンの娘《第23章6》

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元馬場の一角に作られた練習場に響き渡る剣の音。
重なり合う金属音に見ている誰もが息をのむ。
攻防を繰り広げるのはゼロとシド。
ゼロが突けばシドがかわし、シドが突けばゼロがかわす。
文字道理一進一退の攻防でここにいる誰もがその剣さばきに見入っていた。
最近色々と忙しく肩慣らし程度で本格的に打ち合う事も無かったが会談が押し迫った今、少しでも互いの腕を確かめておきたかった。
と、思っていたらゼロがニッと笑うとシドの剣を宙に舞わせた。

「チッ!!」

悔しそうに舌打ちをうつシドにゼロが一言。

「何をそんなにイラついている? お前らしくないな」

「あ~っ、ヤメヤメ!! お前相手じゃ騙せない」

「何があった?」

普段とは微妙に違うシドの剣さばきに異変を感じた。

「まだまだ修行が足りんって事だ」

深いため息をつくと片手でクシャクシャっと頭を掻き毟った。

その様子を見ていたフリードルがクスリと控えめに笑みを零した。

「何だ! その目は!!」

キッとフリードルを睨みつけた。

「いえ。シドのこのような姿は、新鮮だなぁと思って」

睨みつけてもニコニコ笑顔のフリードルにシドはバツが悪そうに目を逸らした。
こいつ、絶対気付いてる!

「何だ? その遠回しの物言いは。もぅ少しハッキリ話せ」

「ここでは、シドも気まずいでしょうから食堂に御茶でも飲みに行きませんか?」

「あ~~~もぅ、話すから。分かった。茶を飲みに行くぞ!!」

ジッと見つめるフリードルの視線にシドは諦めた様に言葉を吐き捨てた。


「ほら、見て下さい。原因はアレです」

食堂の片隅で一人紅茶を啜りながらジッと一点を見つめ姿を追い続けるルシオンの強い視線。
その先に誰が居るか確認するとゼロは納得した。

「ああ、そう言う事か」

ゼロも楽しそうにククッと笑いを漏らす。

「ゼロ様がお気づきになられないなんて珍しいですね」

「こいつはほら、ここに来れば他に目が行く極上の花が居るから、それ以外の者には目が向かないよな」

ニンマリとシドが微笑むとゼロも少しバツが悪そうに目を逸らし、紅茶を一啜りした。

「他の者にお前の視線を逸らす目的は達成できたが、お蔭で今やこっちが注目の的だ。お前の義兄貴になるんだろ。アレ何とかしてくれ」

「何だ? このままでは明後日にも支障が来すか!? お前にそんな弱点があるとは思わなかったがな」

「サンドラは特別だ。あいつが2歳の時に母を亡くしてからは、俺は赤子の弟の世話に忙しい乳母の代わりに随分母親代わり的な役割をしていた。その俺があいつを心配して何処が悪い」

憮然と開き直るシドの姿に苦笑いしつつも、“母性にも似た感情なのだろうか?”と、推察する。
姉しかいないゼロにとっては想像しか出来ない事だが、シドの態度で余程の想いなのだろうと言う事だけは理解出来た。

ゼロは、やれやれと席を立つと、柱の陰でそっと主を注意深く見守り続けるランドンに声を掛けた。

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~ Comment ~

NoTitle 

お兄様楽しいねぇ(^m^)
なんで兄出てくるとギャグっぽくなるんだろ?(大笑)
しっかりものの嫁(あら、まだ嫁じゃないね!)みたいで
よかったねぇ~♪
あっちもこっちもHAPPYv-238でいいことだ~^^

HANON.H様 

兄が出て来ると、どうしてもこうなってしまうのよね^^;
勝手に動いてくれるけど、ちょっと突っ走りすぎ(苦笑)
本当は番外編で本格的に触れようかとも思ってたんだけど、ここで誰か出さなきゃいけなくなって彼女呼んじゃいました^^;
最初はハッピーなんだけどねぇ、この時点では独りよがりだから(苦笑)
でも、スミマセン。とりあえず謝っておきます^^;

いつも有り難うございます^^
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