パウリンの娘

パウリンの娘《第5章4》

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陽がとっぷり暮れる頃、予定より少し遅くなったが無事サングリアの街に入った。
大きい街だが、活気もあまりなく行き交う人は疎らだ。
フリードルの話だと昔は王都へ向かう他国の者がサザンドールで最後に泊まる宿場町としてかなり賑わっていたらしい。

暫くするとフリードルが見知っているという宿屋の前で馬を止める。

「宿の者と話してくる。話は私に合わせておいてくれ」

そう言うと中へ入って行き、暫くすると黒衣の男と一緒に出てきた。

「話はついた。馬はこいつが管理してくれるから。サビエル、頼んだぞ」

「はい、エル様」

“エル様!?”

皆少し驚いたが、今は平常を装いフリードルと一緒にサビエルと言う男の後をついて行った。
馬屋でとりあえず馬を引き渡し預ける。

「詳しい事は決まり次第後で報告する」

フリードルが傅く黒衣の男にそう告げた。

宿の前には主人らしき人物が立って待っていた。

「これは良くいらっしゃいました。皆様エル様のご友人だそうで。大したものは用意できませんがどうぞ。お部屋に御案内致します」

そう言うと中へ導いた。

案内された部屋は狭いが皆個室でローレライの隣の部屋にはフリードル、前にはランドン、その隣にルシオンと、どの体勢からでもローレライとルシオンが守られるように配置された。
自分の部屋に荷物だけ降ろすと皆がフリードルの部屋に集まる。
フリードルから宿に入る前にそう言われていた。
ここで当然のような振る舞いで“エル”と呼ばれていたフリードル。
父の書状の件と言い、フリードルには昔とは違う何か謎めいたものをローレライは感じていた。

「詳しい事は話せないが、今私はある仲間と行動共にしている。その仲間は志しを同じくする者達だ。何よりも信頼のおける者たちで、仲間内では私は“エル”と言う字名で呼ばれている。伯爵と話した当初は“エル”としてではなくフリードルとして行動するつもりだったが、少し予定を変えざるを得ない事態になっていると思う」

淡々と現段階で必要と思われる事だけを簡潔的に話すフリードル。
やがてその口から、思いもよらなかったジュリアスの風貌についての秘密を知らされる事になった。

「トランゼには行くが、おそらく情報収集だけできっと見つけられないだろう。仔山羊も仔馬の目くらましに使われた可能性が高い。何処かに盗まれた後放されたか市で売買される可能性もあるが、何か特別な特徴でもなければ見つける事は不可能だろう。仮に見つかれば賊を捜す手掛かりになり得るが・・・・」

ローレライは唯々びっくりするだけだった。
ジュリアスとドレアスがそんな血統の馬だなんて・・・・。
何も知らずにローレライはメイテルと一緒に普通にジュリアス、アドレアと草原を駆けたり、散歩に出かけたり過ごしていた。
ドレアスも普通に放していたし、それを知った誰かが盗んだのだとしたら・・・・?
疑わしいのは今までジュリアス、ドレアスに接触した事のある人物全員だなんて多すぎてとても分らない。
ローレライは愕然とした。

「とにかく賊の手掛かりが何も無い今、頼れるのは私の仲間たちだけだ。今回の件、先程サビエルにも話したが、彼も興味深そうだった。告げれば上が動いてくれる可能性も高いだろう。しかし、あくまでも決めるのはローレライ君だ。君が単なる物取りと思うならば私はサビエルに口止めしてフリードルとしてこれからも動く。でも、王家の血統馬として認めて探したいのであれば事はかなり複雑になる。エルとして行動した方が良い」

詳しくは話せないと言っていたけれど、フリードルの仲間たちって一体どんな仲間なんだろうか!?

「フリードル、一つだけ聞いていい!?」

「ああ」

「あのサビエルって何者!?」

「この宿の息子で、王宮に勤めていた時の私の部下だ」

昔から知る性格と民を蔑み苦汁を強いる王の護衛を続けられないと言って王宮勤めを辞めたと言うフリードルの行動は信頼に足るもので何処にも不安要素は見つからなかった。
そして、仲間の一人は志を同じくする元部下だと言う。

「お兄様はどう思う!?」

「任せるしか無いだろ。あいつは弟も同然の存在だけど、私より頼りになる」

「ランドンは!?」

「ルシオン様はご自分を良くお分かりだと思います」

ランドンがそう頭を下げるとローレライもこくりと頷く。

「フリードル、エルにお願いします」

フリードルは分かったと言うと

「これからは私をエルと呼ぶように。それと、私をエルと呼ぶ者以外は絶対に信用しないように」

そう告げると部屋から出て行った。

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~ Comment ~

NoTitle 

フリードルいいわ!!やっぱり!!!
裏ある人好き~v-238
私もそういう人書きたいんだけど
悲しいかないつも裏表なしになっちゃうのよね↓

HANON.H 様 

有り難う^^/ 私もフリードルも好きなの♪
基本好きな男しか書きたくない(笑)
裏のある人系結構居るかな~。
基本それが無いと困る話なの。(どんな話だ!?)
書き辛い時もあるけど、結構入り込んでしまえば書けてる?(笑)
でも、私裏表なしの直球タイプも大好きよ♪ 読んでて楽しいよ^^
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