パウリンの娘

パウリンの娘《第23章7》

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ゼロは自室にランドンを招き入れると意見を求めた。

「では、短期間とは言え諦めさせるにはとりあえずそれ相当の打撃を与えなければ無理なのか?」

「はい、数年前などは結婚式当日まで未練がましかったお人ですから」

思い込みの激しさは相当らしい・・・・。
シドの気持ちはともかく、サンドラ嬢の気持ちも分からない段階で、ルシオンに打撃を与えるのは不本意だった。

「私が監視できれば問題なかったのですが、やはり同行した方が宜しいのですよね」

「騎士上がりの連中では御者のフリは務まらん。直ぐに怪しまれる。夫人を連れて行くにはお前の協力は欠かせない」

ランドンは夫人の家の御者として警護を兼ねて今回急遽同行する事になったのだ。
当然城の中までは付いていけない。
しかし、緊急時には馬車を捨て、単独で夫人を馬に乗せ二人で支部へ追っ手を撒いて逃げる手筈になっている。
かなり重要な使命だ。

王に宛てた書簡には追記として皇太后の懐かしいご友人をお連れすると書いて送った。駄目だと言われたら今回夫人は同行させられなかったが、送られれ来た手紙には『皇太后も楽しみにしておられる』と書かれてあった。
無関係な男爵家の人間を巻き込む訳にはいかない。
他の者には任せられなかった。

「では、例えばだ。サンドラ嬢に婚約者がいればどうなる?」

「それは、ショックを受けられるでしょうが・・・・。暫くは塞ぎ込んで悩みぬくでしょうね。最終的には自分よりサンドラ嬢に相応しい者であるかどうかを考えられると思います。ああみえて、根は真面目ですのでそう言う事はしっかりされておりますから。結局はルシオン様が認める以上の者で無いと根本的には諦めないでしょう。でも、これはあくまで今までのルシオン様の行動から推察したまでてすので、今後それがどのように変わるかまでは推測致しかねます」

「・・・・そうだな・・・・」

「後は、・・・・サンドラ嬢からキッパリ断られるか」

「・・・・そこまでさせるのは可哀想だ」

ルシオンの想いにすら全く気づいていないサンドラに、裏でルシオンの気持ちを告げて兄が心配して任務に支障を来すかもしれないから落ち着かせる為に断れと言うのも無粋な話だった。
何より、そのような計画を話したら、自分の気持ちはどうあれ兄に激怒するだろう。
サンドラは、兄としてのシザーレは慕っているが、仕事面で剣術以上に認められているシドの得意とする画策面での評価は嫌っていた。
『悪事を働く者だからと言って罠に嵌めて良い訳が無いわ。私あのようなお兄様は嫌い!』
以前武勲を上げ、勲章賜った後の祝賀パーティに同席した際そう漏らしていた。
ルシオンへの気持ちはどうあれ、自身が人を嵌める手助けをする等考えられないだろう。
それに、言ったら最後、自らルシオンに計画を話しに行くに違い。
今不必要にシドの気持ちを逆なでする行為だけは避けなくてはならなかった。

「とりあえず、暫く安心してシドが任務を遂行できればいい。後になってルシオンの気持ちが落ち着き、サンドラ嬢と再び冷静な気持ちで向き合えるようになればなったでそれは良い。そこから先はシドの問題だ。私の関与する事では無い」

人の心は自由だ。ルシオンは人の道を踏み外しているような者でも、遊び人と言う訳でも無い。少しお気楽で頼りない所もあるが根は悪い奴では無い。本当に愛する者が出来れば変わってくるかもしれない。事の道理は分かっている奴だから。
本気でサンドラを思っているのなら自分は義弟になる者として応援しよう。それから先は二人の問題だ。
シドから後で何を言われようとも、そこまでこちらが関与する必要は無いのだから。

交渉まで後二日。
当初シドと相談して地元の適当な人材をサンドラ嬢の婚約者として立て話をつけるつもりでいたゼロだったが、事はそう簡単ではなさそうだ。
しかし、それが無理だとなれば・・・・。

ゼロが再び思案しているとランドンが思いがけずある事を口にした。

「あの・・・・、ご説得頂く事を条件として、とても良い人材が居るのですが・・・・」

そう言ってランドンが掲げた人物は意外な者だった。

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