パウリンの娘

パウリンの娘《第23章10》

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あれ程いつもサンドラの周りをうろついていた男の姿は、今朝は無かった。
これで安心して出立出来る。その筈が何処か気が重い。
馬具の点検を入念に熟しながらもハァっと大きな溜息が漏れるシドの姿に、ランドンが声を掛けて来た。

「昨日話された事を、気になさっているのですか?」

「いや、別に気にはしてい。気にするぐらいなら最初から何もしない」

「そうですか?」

「そうだ」

やんわりと微笑むランドンの姿に何処か見透かされている気がして居心地が悪かった。

「今回は別に塞ぎ込んで寝込んでいる訳ではありませんでしたから、おそらく1週間もすれば元道理になられると思います」

「そうなのか!?」

シドは目を見開き、ランドンを凝視した。

「はい」

柔らかな目線で余裕に満ちたその目は、全てを悟っているようだった。

「ですから、本当に心配されるのでしたら今回の事は短期で解決しないと不味いのではありませんか?」

「それはそうだ・・・・。いや、解決してみせる!!」

急に身の引き締まる思いが溢れて出て来た。
あいつが復活するのが早いか、我王を引き摺り下ろす事が先か、それはシドにとっても腕の見せ所であった。


正午過ぎ、ランドンが引いた馬車がグローバル男爵邸に到着した。
当初、前日支部に来て頂く事になっていたが、その日は珍しく男爵が帰宅した為、翌日に見送る事にした。
平日の為、翌朝の出仕は明らかであった為、無理はしたくなかった。
夫人へはくれぐれも男爵や家の者に悟られないように、仕度は出かける直前に少量の荷物のみ持ち出す様にお願いしていた。
男爵を送り出した後、少しバタバタさせてしまうが、致し方ない。
幸い男爵は、また暫く帰れそうにないと言うので恐らく2~3日は何も知られる事無くやり過ごせるであろう。
夫人は出かけに夫に置手紙をして、家の者には実家の屋敷に置いてある荷物を少し整理したいから数日は戻らないと告げると娘と二人で馬車に乗り込んだ。
迎えに来たランドンは夫人の実家であるログウェイ子爵邸を管理している執事が寄こした迎えの者と判断され、特に男爵邸での問題は無かった。

馬車の座席の扉を閉めると屋敷の者にランドンは一礼した。

「では、奥さまとお嬢様は暫く我が子爵家でお預かりさせて頂きます。男爵様に宜しくお伝え下さい」

そう告げ、馬車へ乗り込むと、一路支部へと走らせた。

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~ Comment ~

NoTitle 

あら、かわいそ~(笑)
そして良心の呵責も素直なお兄様だからこそ
浮かぶんだろうけど^^;
でも確かにお兄様一直線っぽいからねぇ~(笑)
これ、らぶらぶになったらお兄様空飛んじゃうでしょ?(笑)
でもかわいそ~~~(^m^)
…笑っちゃうけど^^
こういうのも好きよv-238

はのん様 

書きながら可愛そうかなと思って、出来るだけ痛手の少ない設定にしました(笑)
ルシオンの一目惚れは唯の一目ぼれで終わってしまうのか、運命だったのか?
ルシオンは今後も色々巻き込まれる予定なので、色んな意味で頑張ってほしいわ♪
こう言うのも好きと言って貰えて良かったです。
いつも有り難うございます^^
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