パウリンの娘

パウリンの娘《第24章5》

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その声に反応し、立ち上がったシザーレは王の声を何と無視した。

「話にならんな。アイスラント、帰ろう」

ワナワナと怒り震える王をお静まり下さいと諫める最高司令官に、これは謀反ですよと駆り立てる皇太后。
我王と言う存在を作り出したのはやはり皇太后だと言う事をこの時確信した。

「お、おまえ、おまえ、お前なんかぁうちッ」

「まさか一国の王ともあろうお方が器量の無い者のように“打ち首だぁ”等とは申しますまい。我が王は御心の広いお方ですから」

シザーレは言葉で言葉を遮る。
そう告げるながら、王の前にスタスタと歩み寄ると額づいた。

「そっそのような真似を誰がするか!」

王は出鼻を挫かれた形で、シザーレの前で寛大な言葉を口にした。
自分の想い道理にならなかった王に一番驚いたのは皇太后だったに違いない。

「まぁ、王様大変ご立派なお言葉です。ですが、このような無礼を許しては他の者の示しがつきませんよ」 

幾分の良識を携えているようにも思える王の判断を悉く覆して来たのはおそらくこの皇太后か。
そう思うと、シドはやはり早々に話を切り上げるべきだと決断した。

「他の者とは何方の事ですか? ここには良識ある名将オーラル閣下と情け深いマノン伯以外他者は認めませんが?」

「そっ、それは国民に対してです。王の采配にこのような狼藉を働いたのです。罰を受けるのは当然です!」

「では、国民に問うてください。王家ご用達の名を貸す代わりに売り上げの70%を寄こせと言う王の采配が妥当かどうか? さぁ、いつ問われますか? 私は今からでも一向に構いませんよ? 集合ラッパを鳴らし、国民に集まって貰いあちらのバルコニーからお聞きになりますか?」

これには流石に皇太后も狼狽えた様子だった。

「そっ、そうねぇ。幾らなんでも70%はやり過ぎかしらね。半分にして差し上げれば?」

等と王に助言している・・・・。

いや、いや、そう言う問題では無いだろう・・・・。
王家のご用達に金を払えと言う話事事態、聞いた事が無い。
するとマノン伯が補足した。

「諸外国でも財政難に同様の対策を取られてある国もあるとか。陛下はそれに倣ったのでございます」

額には汗が滲んでおり、それは皇太后と王の目を気にしての言葉である事は明らかだった。

「そうだ。倣ったのだ!」

とても自慢げな王の姿に偉いわねぇと褒め称える皇太后の姿にやってられないと思った。

「もしかして、マルシナ国の事か? あそこは希望があれば善意の寄付は受け付けると言う形で強制はしていなかったと思うが?」

善意の寄付を募ると言うのと、賃貸料としての徴収は全く違うものだ。

「国の財政を考えれば致し方ないのでございます」

深々と頭を下げながらマノン伯は更に額から汗をタラタラ流しながらも弁明しようと必死の様だった。

大きなため息を漏らすと、シドはこれ以上この話を持ち出す必要は無いと判断した。

「おい、もぅ話を切り上げても良いか?」

「好きにしろ。この件はお前に任せてある」

王宮内での交渉事の主導権は予てからシドに任せてあったが、まさかこのように早い段階でシドが動くとはゼロは予想していなかった。

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