パウリンの娘

パウリンの娘《第24章6》

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一瞬、不敵に微笑んだかと思うと直ぐに踵を正した。
そして、シザーレは造作もない事を話すような口調で次の言葉を発した。

「では、そろそろ余興はこれ位に致しまして、本題に入らせて頂きます」

「・・・・余興・・・・とは?」

王だけでは無く、アイスラントサイドの人間以外の誰もがシザーレの言葉の意味を理解できずにいた。

「実はこの交渉は私共にとって駒の一つに過ぎません。一番の目的は他にございます」

「目的!?」

「ああ、でも、その前に皇太后様に懐かしのご友人との再会を喜んで頂きましょう。きっとびっくりなさいますよ」

訝しげな王や皇太后の表情を浮かべる様子をまるで楽しげなものでも見つめるようにシザーレはニッコリ微笑むとそう告げた。

「男爵夫人、こちらへ」

部屋の隅に簡易的に作られた仕切りの奥から待機していた夫人は姿を見せた。

「お久し振りでございます。妃殿下」

皇太后は咄嗟に椅子から立ち上がると、真っ青な面持ちで声を発した。

「・・・・マリーカ・・・・」

「マリーカ!?」

皇太后の震える声とは対照的に王は瞳をパッと見開くと、童心にかえった様に咄嗟に立ち上がると男爵夫人の元に駆け寄った。

「マリーカ!! 元気にしておったか!? 急に王宮から居なくなって、どれ程心配した事か! アイスラントが見つけ出してくれたのか? 男爵夫人とはどう言う事だ? 神隠しにあったのではなかったのか!?」

どうやら、王は母の侍女マリーカにとても懐いていたらしい。そして、皇太后はそのマリーカが辞めた事を息子の王に隠していた様だ。

「はい、皇太后様のお口添えであの後嫁ぎまして、色々ございましたが現在はお蔭様で元気に暮らしております」

「そうか・・・・」

我王はホッとして胸を撫ぜ降ろした。

「現在は王も良く知るグローバル男爵の夫人ですよ。御存じありませんでしたか?」

「内務官の!?」

王はかなり驚いている様だった。

王はクルリと振り返ると皇太后に歩み寄る。

「どうして知らせて頂けなかったのですか?」

「それは・・・・、色々事情があったのよ。子供には話せない事情が・・・・」

詰まらせながらも言葉を選んで口にしている様子が伺える。

「事情!? どのような!?」

王は一瞬怪訝な表情を浮かべると皇太后に歩み寄った。

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