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パウリンの娘

パウリンの娘《第24章9》

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食堂に戻って来たローレライはサンドラに話しかけた。

「あれではエリナ嬢が可哀想だわ。初めての場所で不安だってあるでしょうに・・・・」

「大丈夫よ。あれは優しくされると付け上がって我儘になるタイプだわ。弟と似ているから良く分かるの。気が強い所は私と一緒ね。逆境には強いから大丈夫。ローレライもあまり甘やかさないでね」

そう言えばシザーレの所は5人兄妹だと言っていた。
兄妹が多いとそれなりに人との関わりも多くなる。
そう言う知識は自分より豊富と言う事かしら?
半信半疑ではあるけれど、エリナ嬢の事はサンドラに任せた方が良いようにも感じて来た。
大丈夫、サンドラは良い人だもの。
最初はサンドラの突拍子の無い行動に少し戸惑ったローレライであったが、暫く様子をみてみようと思った。

そこへ着替えを終えたエリナが戻って来た。

「これで良い? で、私は何をすれば良いのかしら? 言っておくけれど私料理なんてした事ないわよ。今までする必要も無かったから」

エリナの放った言葉におやっ!?と言う表情をサンドラは浮かべた。
少し意外だったらしい。
サンドラは少し厭味ったらしく言われるのを覚悟していたのだ。
『まさか、この様な場所で下賤な真似をさせられるとは思いも寄らなかったわ』程度の言葉は浴びせられると踏まえていた。
当然、貴族の子女ならそれ位言われても普通だろう。
自分やローレライが珍しいケースなのだ。
しかし、エリナはその様な素振りも見せず、比較的素直に物事を捉え受け入れている様だ。王都育ちでも、そう気位の高いお嬢様と言う訳では無いらしい。

「ローレライ、大丈夫よ。多分」

サンドラはその点は素直にエリナを理解し、ローレライを安心させる為に一言声を掛けた。

「へぇ、結構似合っているじゃない。では、こちらのジャガイモを剥いてマッシュしてして。熱いから気をつけてね」

湯気の立ちのぼる熱々のジャガイモの入った鍋と、大きなボールを後ろのテーブルに置いた。
当初、あまり気を逆なでさせないようにしようと思っていたが、少し気遣う程度で普通に振る舞う事にしようと決めた。

「マッシュって!?」

本当に何も知らないらしい。

「茹でたジャガイモの皮を剥いて潰す事を言うのよ」

「そうなの・・・・」

「こちらのテーブルで一緒にしましょうね」

声をかけてくれたハビネス夫人に素直について行った。
熱いから気をつけてと夫人が再度注意していたが、ピアノ以外触れた事のないような柔肌な指先は直ぐに悲鳴をあげていた。

「アツッ」

最初皆が通る難関の一つ。
毎日やっていればその内慣れるだろう。
これをベースに材料を加えればマッシュポテトやポテトサラダにもなるのだと夫人が教えるとエリナは興味深げにへぇ~と感心して頷いた。

直ぐには仲良くなれないかもしれないが、手を冷水で冷やしながらも一生懸命に皮を剥こうとしている無骨さは好感が持てた。
とりあえず、エリナの前では交渉事を気にしている素振りは御法度だ。
不必要な事は話さず、仲良くやって行ければ今はそれでいいと思った。

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