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パウリンの娘

パウリンの娘《第25章1》

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皇太后を拘束した恩師を誇らしく思う反面、王の御前で処断してしまった事を、落ち着きと冷静さを取り戻した王がどのように捉えられるのか?
今までの王の身勝手な発言を思えば、恐らく寛大な言葉は頂けないであろう。
アイスラントは時間の経過と共にその事が気がかりになって行った。

「お見逸れ致しました。・・・・ですが、大丈夫なのでしょうか?」

「それは、唯では済まんだろう。今はあのような状況だからこちらまで手が回っていないようだがな」

そう言いながら苦笑いし目を向けるその先には、皇太后を追いかけようとする王を何とか諫めようとする警護の者とマノン伯の姿があった。

「申し訳ありません」

アイスラントは深々と頭を下げた。

「お前が謝る必要は無い。これは私が勝手にした事だ。それに私は中々の策士でな。お前達が居るから何とかなるのではないかと秘かに期待もしている」

ハハハッと笑い飛ばしたオーラル殿はとても清々しそうに見えた。

「御冗談を。ですが、ご期待に沿えるように努力します」

そう言ったアイスラントの瞳は、師のように冗談を仄めかしたものでは無く、真剣そのものだった。
瞬時にそれを汲み取ったオーラルは元部下達がここへ来た本当の理由をずっと漠然と考えていたが、それがおそらく間違えでは無かった事を確信した。

「で、交渉と偽ってまでここに再びこの面々で訪れたと言う事は、何か余程の意味があるのだろう?」

全てはお見通しとばかりの表情で恩師は微笑を浮かべた。

師のその言葉に皆が顔を見合わせた。

「はい。その通りですが何時からお気づきに!?」

「最初に勘のようなものを抱いたのは皇太后よりお前たちが来るから、今回の警護任せたいと仰せつかった時だ」

流石オーラル殿だ。
そして、今回の交渉がこうもあっさり認められた背景も知る事が出来た。
当初この交渉は皇太后より即座に却下されたらしい。
きっと何か裏があるだの何だのと最初かなり警戒していたようだ。
それが、宰相の助言で変わったらしい。

『あれも自分勝手に城を飛び出し、苦労したのでしょうね。先日久し振りに顔を見せましたが、かなりやつれておりました。今になって王様のお情けに縋りたい等と言う事は余程追い詰められているのでしょうが、我が息子ながら恩知らずの嘆かわしい奴でございます。どうぞお見捨てください。王様のお手を煩わせるなど何を考えているのか!』

等と吐き捨てるように言葉を放ち、いかに現在アイスランが情けない処遇であるかを洗いざらい王と皇太后の前で喋りまくったらしい。
その内容はかなりの苛立ちを覚えるものであったが、その助言により皇太后の態度が変わったらしい。

『良いでしょう。私は心が広いから恩恵を授けて差し上げるわ」

その皇太后の言葉で交渉が決定されたようだった。
とりあえず、父に感謝しよう。実際に交渉の場を設けて貰えたのだから。


前線から離れた事で、事務的仕事が多くなったオーラル殿は自分なりに以前から疑念に抱いていた件を少しずつ探らせていたらしい。
しかし、中々決定的な証拠には結びつかなかったようだった。

「私の所には大した報告は上がって来なくてな。やはり、お前たちが居なくなっては手足を捥がれた様で自由に全く動けんよ」

最高司令官オーラルは苦笑いを浮かべつつそう告げた。

「勝手に出て行って申し訳ありませんでした。しかし、」

「いや、分かっているつもりだ。お前たちが何の為にここを出て行ったかと言う事はな」

「オーラル殿!?」

各々が互いに顔を見合わせ、そして、恩師に再び目を向けた。

「で、皇太后の不義に関わる件は全て摑めたのか!?」

その言葉は、部屋に居た者に衝撃を与え、静寂をもたらした。

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