パウリンの娘

パウリンの娘《第25章2》

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慌てて周りを見渡したアイスラントはそこに衛兵の姿がない事に安堵した。
視界に入るのは幾分落ち着きを取り戻した王の姿と、マノン伯のみであった。
状況を見据えて、そこまで話を引き伸ばし、頃合いを見計らってオーラル殿は決定的な言葉を口にしたのかと思うと流石としか言いようがない。

「・・・・皇太后の不義・・・・とは、・・・・どう言う・・・・事だ!?」

王は思いも寄らぬオーラルの発言に震える声でそう呟いた。

「一先ず座りませんか?」

アイスラントが椅子を勧めた。
玉座の椅子では無く、互いが話し合える場を勧めると王は自分と向い合せになる席に腰を下ろした。
その両脇にはマノン伯とオーラル殿が付く。
王はじーっとオーラルの問いに対する答えを待っているようにアイスラントを見つめた。

「その・・・・オーラル殿の問われた疑惑の件ですが、証人と、論理的推察は合致しますが、事実上の証拠品となるものは手元にはございません。可能性のある物には遭遇出来ましたが、それを取り上げる権限を今の私共は持ちませんので」

「そうか。答えは導き出されたか。では、先ずそこへ辿り着いた経緯を聞かせて貰おうか」

オーラル殿の問いに、アイスラントは少し間合いをとり、慎重に言葉を選び口にした。

「恐縮ながら王様はご自分の風貌、特にその瞳の色に疑念を抱かれた事はございませんでしょうか?」

唐突に、不躾な質問が投げかけられ王は怪訝な表情を浮かべた。

「これは異なこ事を・・・・。この瞳の色は母の曽祖父である前グランティナ伯の肖像画にそっくりだぞ」

「残念ですが、私の調べではそのような事実はございません。王様はその肖像画をご覧になった事が?」

「皇太后の部屋に飾られてあるぞ」

アイスラントはその言葉に、訝しげな面持ちで男爵夫人を見つめた。

「そのような筈は・・・・。男爵夫人、この件について何かご存じなのでは?」

アイスラントの知る限り皇太后の曽祖父である前グランティナ伯の肖像画は現在伯爵家の階段の踊り場に掛けられており特別な特徴の絵であると言う報告は受けていなかった。

その問いに、夫人は少し口ごもりながらも言葉を発した。

「・・・・実は、皇太子様がお生まれになって間もなくの頃、王妃様のお指図で私が・・・・。ラスク街に住む無名の絵師に依頼し、支持道理の絵を描いて頂きたいと・・・・」

名のある者に描かせれば跡が残ると踏んだのだろう。
無名画家に頼めば、金さえ積めば如何様にも描かせることが出来る。
高額の金を積まれればどのような約束も守るだろう。

「・・・・うそだ・・・・。母君が私を偽るような事を・・・・する筈が・・・・」

狼狽する王にシザーレが激を飛ばした。

「いい加減目を覚まされてはどうですか? 実際、侍女マリーカの事は知っておられたのに隠されていた。そして、今回も嘘で塗り固められた偽の肖像画を・・・・」

状況を捉えれば誰が見ても皇太后の虚言は一目瞭然だ。
それが分らぬと言うならば、やはりその程度の者だと言う事かと思った時だった。

「黙れ!!」

思いの外、当たってしまった王の行動に、シザーレは苦笑いするしかなかった。

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~ Comment ~

NoTitle 

おほv-238
お兄様本気だね^^b
そうなると皆応援したくなっちゃうよなぁ~(笑)

同時進行、大変だよねぇ~↓
なので私はだいたい視点を一人にしぼっちゃいますね(今は)
これだと楽なんだな…^^;
あっちの部屋で2つの話を同時進行リンクで作ったときは
投げ出したくなりましたよ…(--;)
やめればよかった~~~!と(笑)
でも面白かった、と言われれば救われます(単純なので 笑)

涼音さんもがばってね~~^^/

HANON.H 様 

本気です!(笑)
これで成就できなかったら、もぅルシオンは立ち直れないでしょう。きっと何年も引きずるか!?(苦笑)
暖かく見守りましょう♪

ここは、内容的に王宮だけを捉えて書くのは難しかったの。
サンドラをここで出すと決めた以上、それなりに進めて行かないとね。
何の為に出て来たか分からなくなっちゃうから。
サンドラを出さなかったらここはまた別のキャラ作らなくてはならなかったし、そうなると余分なキャラが増えちゃうのでそれも避けたかった。
出来れば繋ぎにしかならないキャラは出したくないし・・・・。サンドラとエリナは設定上ここだけで終わるキャラではないので。
とにかく、話が戻せるまで頑張るわ♪ あと少しでこの場面も書き終わるので(笑)

はのんさんも頑張ってね♪
いつも、有り難うございます^^
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