パウリンの娘

パウリンの娘《第25章5》

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何故自分はもっと早くに、正当な手段など選ばず、この王を玉座から引き摺り下ろす手段を選ばなかったのか!?
次に王となる者として選ばれたからこそ沸き起こる感情かどうかははかり知れないが、今まで自分が取って来た生ぬるい対策を心底この時後悔した。
国民の真意を汲み取りもせず、母の為だけに国を治めていると言う名ばかりの者に最早1秒たりとも国を治める資格は無い!!
卑怯者と呼ばれようと、謀反と叫ばれようと、この場で両断してやろうと決意して立ち上がった時だった。

「では、この件は御認めになったと言う事で宜しいのですね!?」

アイスラントの只ならぬ気配を感じ取ったのか否か、この場しかないとばかりにシザーレが皇太后に詰め寄った。
そして、アイスラントの肩に手を置くとポンと軽く叩いて座るように促した。
シザーレはあくまで出来るだけ穏便に事を進めようと言っていた。

皇太后はあれだけの態度を取った後だと言うのに傍若無人な振る舞いは留まる所を知らなかった。

「答える事を拒否します!!」

この期に及んでそれは無いだろう・・・・。
その傍若無人振りこそが全て認めていると言う事に、この皇太后は気付いていないのだろうか!?
ともすれば、この事実を告げた時点で王から即座に謀反と騒ぎ立てられる可能性もあると示唆していた。
そのつもりであったから、この面々で城に赴いた。
しかし、それは全く想像の付かなかった言葉で遮られる事となった。

「私は政務官・・・・いえ、宰相補佐官としてこの件に対して法律議会を開廷する事を宣言致します!! 明日未明に緊急議会を招集致し宰相を議長とし、この件が法に基づいて認められるかどうかの審議の上、最終議論を行います。皆様には本日は客室を用意させて頂きます。会議の時間までごゆるりとお過ごし下さい。王様、皇太后様もそのおつもりでいらして下さい」 

マノン伯が衝撃的なる一言を告げた。

「なっ、ななな、何を申しておるのですか、あなたにその様な権限は・・・・」

「いえ、ございます。知らぬとは言わせません。政務官は正式には宰相補佐官兼任です。宰相不在の場合、その地位は一時的に宰相に属する。これは建国より初代ザランドル王がお決めになった事です。そして皇太后、貴方は本日アイスラント殿がこちらに来る事により何か思う所がお有りだったのか、本来王の傍らに居るべき人物に休暇を与えた。宰相に手を出されるのを恐れたのでしょうが、それが裏目に出たようですね。『議案を提出した者への中傷・両断は何者であれ、これを一切認めず』ザランドル王は良い政治を作られた」

そう告るとオーラル殿はニヤリと笑みを零した。

マノン伯は味方か否か!?
考えあぐねている時に、皇太后が何か王に耳打ちした。そして‥‥。

「皇太后に対する名誉棄損と不当要求行為につき、最高司令官の任を解き、パリス・オーラルを拘束する!! 衛兵!!」

「「「「「なっ!!」」」」」」

王の高らかな疑念溢れる宣言に、元騎士全員がその場で立ち上がり異議を申し立てようとした。
しかし、オーラルは左手を差出しそれを制止した。

「これで良い。マノン伯には悪いが、この任を解かれて私は清々する。・・・・ではな。後は任せたぞ。期待している」

そう告げるとオーラルは余裕に満ちた眼差しで含み笑いを漏らした。
拘束され連行されゆく中で「形見分けだ」と告げるとアイスラントに銀時計を手渡した。
瞳はずっと食い入るようにアイスラントを見つめ続けた。
アイスラントはその意図を汲み取るとコクリと頷いた。

室内からは皇太后の“クックククッ、ア~ハッハハハ!!”と、言う笑い声が響き渡る。
シザーレは、悔しげに傍にあった椅子を蹴とばした。

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