パウリンの娘

パウリンの娘《第5章6》

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夕刻になり美味しそうな南瓜のスープの匂いが扉の奥から流れ鼻を擽る。
皆お腹も空いているし交代で夕飯を食べに出ようと言う話になった。
家主に何処か良い店が無いかと尋ねに行くとスープとパンで良ければと既にパンは切り分けられていた。
とても有難い。
ランドンがフリードルを呼びに行ってくれたが、馬から離れる訳にはいかないと言われたらしい。
食事は既にテーブルに並べられてあったので、ローレライは自分の分を急いで食べるとフリードルの分を小屋に運んだ。

「フリ・・・・、えっと、エル、夕飯持って来たわ」

「ああ、悪いな。そこら辺に置いておいてくれ」

疲れた馬の足をマッサージしながらフリードルはそう言った。

「手伝うわ」

「気にするな。体力が一番無いんだから気遣いよりゆっくり休む事。明日はトランゼに入るから気を抜くな」

分かったと言って小屋を出かかったが、やっぱりと思い直してローレライは再び足を止めた。

「なんだ!?」

ジュリアスの為にここまでしてくれて、アドレスも一緒に探してくれるのにこのまま黙ったままでいけないと思った。

「あのね、フリードルにばかり色々聞いて公平じゃないし、もしかしたらこの事も関係しているかもしれないから私も話すわ」

ローレライは敢てフリードルと呼び、振り向くとエルとしてでは無くフリードルとして聞いてほしいと言った。
威厳がある感じのエルの時のフリードルに聞いてもらうのは、何だか少し話しづらいと思った。
フリードルは馬から手を放し、ローレライの傍まで近づくと優しくどうした?と聞いてくれた。

「ドレアスを・・・・仔馬を一緒に探して貰うことになったけど、ドレアスには血統馬かもしれない事の他に秘密があるの」

突然の告白にフリードルが怪訝そうに見つめる。

「秘密!?」

「正確に言うと、私になんだけど・・・・それは話せない事なの。だから話せる所だけ話すけれど、私には生まれ持った特別な運命があって、その運命を導いてくれるのがドレアスのはずだったの。それを知ったのは一月前ドレアスが生まれた時で、それを教えてくれたのは母の友人でジュリアスをくれた人なの。これって何か関係があると思う!?」

「いや・・・・分らないが・・・・関係ないとは言い切れないな」

ローレライの不安を煽ってはいけないとの思いがそう言わせたが、実際は大ありかもしれないと内心思っていた。

「それで、ジュリアスをくれたと言う伯母上の友人と言うのは?」

「名前、言っても良いのかな? でも、隠して無かったし良いよね!? ・・・・ザビーネ様」

「ザビーネ様だって!? いや・・・・でも・・・・。ザビーネ何て言うんだ!?」

フリードルがかなり慌てているのが分かる。
考え込みながらも冷静を保とうとしているのが伺える。

「知らないの。昔は占い師の友人と教えられていたのだけど、先日は古い友人と紹介されただけだから、字名かもしれないのだけれど」

「その御方の風貌は!?」

フリードルの表情が険しくなった。

「漆黒の髪に薄紫のとっても綺麗な瞳」

「間違いない、ザビーネ様だ・・・・」

フリードルは驚愕し、確信した。

「ローレライ、ジュリアスは間違いなくサランドル王の愛馬の血統だ!」

“これは大変な事になった!”

フリードルは早馬で自ら今すぐにでも駆け出し仲間と連絡をつけたい気分だったが、今はまだここを離れる訳にはいかない。

「ローレライ! 明日は夜明け前にここを発つ! ! 皆にそう伝えておいてくれ」

キリリとした表情でそう告げると、明日は早いから直ぐに休むように言われ、ローレライは何故そんなにフリードルが慌てているのか訳も分らなかったが、唯頷いて部屋へ戻るしかなかった。

“フリードルはザビーネ様を知っている!?”

ローレライはそう聞きたかったけれど、エルの姿が見え隠れするフリードルが少し怖い気がして口にする事が出来なかった。

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NoTitle 

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話が進んできた~~^^
やっぱりフリードルいいわv-238

HANON.H様 

6章ではまた色んな方向に話が進んで行きます。
主要クラスの新キャラも登場します♪ (次は出ないけど^^;)
また、気に入って貰えるキャラが増える事を祈って(笑)

NoTitle 

ローレライは確かに穏やかな人ですけど、それと行動はまたギャップがあるのが良いですよね。なんというか、やはり女王のような資質はあるような思います。言葉遣いや物言いに人を突き動かすものがありますね。それを本人が実感していないところがあれですが。。。

LandM様 

女王のような資質があるように見えますか?
良かったです^^
荒削りでもそのような面を匂わせるキャラに育ってくれていなければ困る所でした(ホッ)
それを本人が実感していないんです。何せ天然ですから(笑)
行動と性格のギャップはキャラ設定を考えた当初からの狙いの一つでした。
そう言って頂けるととても嬉しいです。

いつも有り難うございます^^
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