パウリンの娘
パウリンの娘《第25章6》
晩餐をと言われたが、それは断り別室でと希望すると、アイスラント様のお部屋へお持ちしましょうか?と聞かれた。
言うからにはそれなりの広さがあるのだろうと推測しお願いしたが、こちらですと言われ案内された部屋の奥を覗いてアイスラントは頭を抱えた。
“最悪だ!!”
皆の部屋は一部屋に全てが収まる簡易式な造りとなっており、とても居心地が良さそうだったが、自分の部屋は寝室が別室の二間続き。
一人で寝るには大きすぎる巨大な宮付ベッド。この部屋だけでも全員で過ごせそうだ。
入って直ぐの部屋はリビングを思わせるような造りで小脇にはダイニングテーブル一式と小さな暖炉も設置されており装飾品も豪華でシャンデリアには宝石も散りばめられていた。
皮張りの椅子に大理石の応接台、壁には名のある名画がかけられてある。
どう見ても高官用に作られた客室なのだろうが、こうも趣味が悪いと頭を抱えたくなる。アイスラントにとっては拷問に近い状況だ。
部屋に入ると大きなため息をついた。
父は現宰相にして母は元皇女。十歩譲って、名のある公爵家の子息となれば華美すぎるもてなしと言う訳では無いのかもしれないが、とてもではないが自分の趣味には全くそぐわない。
とにかく部屋に入ってもゆっくり落ち着く事が出来ずに、途方に暮れた。
自分たちの部屋を確認し、そのままアイスラントの部屋を訪れていた面々の顔もかなり呆れたものだった。
「凄い・・・・部屋ですねぇ・・・・」
この世にこんなに豪華な客室があるものなのだなぁとサビエルは感心しているようだった。
「こんな悪趣味な部屋が良いのか? 私はお前の実家の宿の方が余程快適だと思うぞ。いつでも変わってやるが?」
サビエルがあんぐりと部屋を見渡している脇からアイスラントがニッコリ微笑みそう告げた。
「いえ。それは結構ですが・・・・、うちの宿とは比べものにもなりませんが、これが正式におもてなしをすると言う部屋と言う事なのでしょうね・・・・」
苦笑いするサビエルの姿が何処か滑稽だ。
どう言う訳か、アイスラントの近しい周囲には華美を好む人材が居ない。
そう言う者を選んで付き合っている訳では無いが、アイスラントの物に囚われない姿勢が齎す由縁なのかもしれない。
部屋の外には向かいの部屋に居る男爵夫人の護衛と称してランドンに見張りをさせている。
今夜泊まる事になり、外で待っていたランドンにも男爵家の者としての部屋を宛がわれた為、こちらとしても都合が良い。
「どうする!? オーラル殿をどのようにして助け出すつもりだ!?」
シザーレが策を問うた。
「いや。オーラル殿の事はとりあえず無視して考えて良い」
「正気ですか!? オーラル殿は私共の為に!!」
サビエルが血気盛んに異議を申し立てる。
「まぁ、聞け。これはオーラル殿が去り際に私に渡した銀時計だ」
アイスラントは懐からそれを取り出すとシザーレに手渡した。
シザーレは銀時計の裏を見つめると呟いた。
「ヴィグナス産か。珍しいな。ただの形見分けでは無いんだろ? 恐らくは何らかの意味が隠されているのではないのか?」
「そうだ。この銀時計はある者から送られた物だ。おそらく今夜奇襲がある!!」
アイスラントは確信をもってそう告げた。
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言うからにはそれなりの広さがあるのだろうと推測しお願いしたが、こちらですと言われ案内された部屋の奥を覗いてアイスラントは頭を抱えた。
“最悪だ!!”
皆の部屋は一部屋に全てが収まる簡易式な造りとなっており、とても居心地が良さそうだったが、自分の部屋は寝室が別室の二間続き。
一人で寝るには大きすぎる巨大な宮付ベッド。この部屋だけでも全員で過ごせそうだ。
入って直ぐの部屋はリビングを思わせるような造りで小脇にはダイニングテーブル一式と小さな暖炉も設置されており装飾品も豪華でシャンデリアには宝石も散りばめられていた。
皮張りの椅子に大理石の応接台、壁には名のある名画がかけられてある。
どう見ても高官用に作られた客室なのだろうが、こうも趣味が悪いと頭を抱えたくなる。アイスラントにとっては拷問に近い状況だ。
部屋に入ると大きなため息をついた。
父は現宰相にして母は元皇女。十歩譲って、名のある公爵家の子息となれば華美すぎるもてなしと言う訳では無いのかもしれないが、とてもではないが自分の趣味には全くそぐわない。
とにかく部屋に入ってもゆっくり落ち着く事が出来ずに、途方に暮れた。
自分たちの部屋を確認し、そのままアイスラントの部屋を訪れていた面々の顔もかなり呆れたものだった。
「凄い・・・・部屋ですねぇ・・・・」
この世にこんなに豪華な客室があるものなのだなぁとサビエルは感心しているようだった。
「こんな悪趣味な部屋が良いのか? 私はお前の実家の宿の方が余程快適だと思うぞ。いつでも変わってやるが?」
サビエルがあんぐりと部屋を見渡している脇からアイスラントがニッコリ微笑みそう告げた。
「いえ。それは結構ですが・・・・、うちの宿とは比べものにもなりませんが、これが正式におもてなしをすると言う部屋と言う事なのでしょうね・・・・」
苦笑いするサビエルの姿が何処か滑稽だ。
どう言う訳か、アイスラントの近しい周囲には華美を好む人材が居ない。
そう言う者を選んで付き合っている訳では無いが、アイスラントの物に囚われない姿勢が齎す由縁なのかもしれない。
部屋の外には向かいの部屋に居る男爵夫人の護衛と称してランドンに見張りをさせている。
今夜泊まる事になり、外で待っていたランドンにも男爵家の者としての部屋を宛がわれた為、こちらとしても都合が良い。
「どうする!? オーラル殿をどのようにして助け出すつもりだ!?」
シザーレが策を問うた。
「いや。オーラル殿の事はとりあえず無視して考えて良い」
「正気ですか!? オーラル殿は私共の為に!!」
サビエルが血気盛んに異議を申し立てる。
「まぁ、聞け。これはオーラル殿が去り際に私に渡した銀時計だ」
アイスラントは懐からそれを取り出すとシザーレに手渡した。
シザーレは銀時計の裏を見つめると呟いた。
「ヴィグナス産か。珍しいな。ただの形見分けでは無いんだろ? 恐らくは何らかの意味が隠されているのではないのか?」
「そうだ。この銀時計はある者から送られた物だ。おそらく今夜奇襲がある!!」
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