パウリンの娘

パウリンの娘《第25章10》

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食事の片付けが終わり、食堂でお茶をしている時だった。
ローレライは胸の辺りでほんわりと何か光っているような気がして、手で押さえた。

「どうしたの? 」

「えっ!?」

肌身は離さず、ずっと首から下げていた麻袋に入ったパウリン。
ここで取り出し眺める事など出来ない。

「ローレライ? 」

「あっ、・・・・私少し胸やけしたみたい・・・・。先に休むわ。二人はゆっくりして。お休みなさい!!」

胸の辺りを掴んだまま、立ち上がると飲みかけの紅茶持って流しに向かうとササッと洗って部屋へ戻った。
自分のスペースのカーテンをザザッと閉じると慌てて麻袋の中のパウリンを取り出し左手の上に乗せ、じっと眺めた。

映し出されたのはとても重厚な造りの広いフロアーだった。
幾人もの人が鎮座している。

「これは・・・・、お城の中なの?」

王宮へは社交界デヒューとして、15の春にデビュタントに参加したのみで他に足を運んだ経験は無い。
当然詳しい王宮内部の事等分かる筈もない。
その場所が何処であるかを明確に示すことが出来なかったが、その重々しい造りはただの貴族の屋敷でない事は明らかだった。
更に目印となるものを探し、目を凝らして覗き込む。
すると場面がパッと変わって石畳の廊下から庭に至るまで剣を交えるゼロやシドの姿、次々と色々な場面が映し出され、更にはザビーネ様が己のパウリンを高々と掲げて何かを叫んでいる場面が映し出された!
周りは兵に取り囲まれている。

「・・・・う・・・・そ・・・・」

パウリンを持つ手がブルブルと震えて来る。
ローレライの不安を余所に、パウリンは溢れ出すかのように目まぐるしく映像を映し出す。あまりにも急激に変わりゆく展開に、これ以上を覗き込むことが出来なくなった・・・・。
ギッュッと目を瞑り、パウリンを抱え込む。
胸の鼓動が恐怖でドキ、ドキ高鳴るのが聞こえる。

“怖い!!・・・・でも、急いで知らせなければ!!”

ローレライはパウリンを麻袋の中に仕舞うと急いで部屋を飛び出した。
途中で部屋へ戻って来るサンドラとエリナにすれ違うが、それすら目には入っていなかった。

「ローレライ!?」

ただ、あんぐりと二人はローレライを見送った。

ハビネス夫妻の部屋の前まで行くと急ぎ扉を叩いた。
(ドンドン! ドンドンドン!!)

「申し訳ありません、ローレライです。お話しが・・・・」

「・・・・・・・」

しかし、中はシーンと静まりかえり、物音一つしない。
何の返答も帰って来なかった。

“一体何処に!?”

ハビネス氏に掛け合い、フリードルを呼び出して貰おうと思っていた。
フリードルなら映し出された場所の特徴を話せばそれが王宮ならば何処であるのか分かるのではないかと思った。
それに、何としても皆を・・・・、ザビーネ様を助けて貰わなければならなかった。
じっとしてなんて居られない!!
とにかく探さなくてはと戻ろうとした時だった。
窓辺に月明かりでは無い何か照らされ、光が動くのを感じた。
きっと夫妻だと思い、急ぎ外に出た。
すると、遠目に幾人も馬上に跨る者の姿があった。
その脇には夫妻の姿もある!
今から皆が出て行くのだと言う事は一目瞭然だった。

「フリードル~ぅ!!」

姿は見えないが、出撃するのならば、絶対にその中に居る筈だ!!
ローレライは己が叫べる一番大きな声で恥ずかしげも無くその名を叫んだ。

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