パウリンの娘

パウリンの娘《第6章1》

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宿代は前金で既に支払っていたので、置手紙をして4人はまだ夜も明けぬ間にナグラの町を後にした。

いつもの様に先頭をフリードルが走り、ローレライ、ルシオン、ランドンが続く。
走るペースは何時もよりかなり早く感じたが、それでもフリードルはローレライを気遣い途中途中で休憩を取る事を怠らない。
ローレライも昨日のフリードルの表情が気になって必死に付いて行った。

正午過ぎ、4人は目的地トランゼの街に到着した。
街は今まで通って来たどの街より活気があり、行商人の馬車も多く行き交いしている。
この場所でも常宿があるらしく、着くと一番にその場所を訪れた。
サングリアの街同様、フリードルを宿の前で待っていると黒衣の男と一緒に出て来た。
一緒に馬屋まで行きフリードルが頼むと言うと黒衣の男は傅き馬を引き取る。

「あの人も仲間なの!?」 

「そうだ。ここは色んな意味で良い情報源にもなるから随時数人の仲間が交代で滞在している。サビエルはまだ着いていない様だ。荷を降ろしたら食事に出よう。案内する」

そう言い宿の主と何やら話をすると部屋の鍵だけ渡され、勝手に部屋へ上がって行く。

「こっちだ」

かなりの常連のようだった。

ローレライの荷物は半分フリードルが持ってくれ部屋の前で鍵を受け取ると各々自分の部屋へ入って行った。

ローレライは荷物を降ろすと暑かったので中着を脱ぎ、上着の上から脱ぎ着出来るように薄手の深緑のローブの付いた外套を纏った。
どういう訳かこの町にはローブの付いた外套を纏っている者が多い。
人が多い場所では出来るだけ風貌を隠せた方が良いと言うのもあったが、ローレライにとってもそれは好都合な事だった。

部屋の前に出るとルシオンとランドンはそのまま変わらぬ格好だったが、フリードルは上から黒いマントのような外套を纏っていた。

「では、行こう」

フリードルに案内され後を付いて行く。
宿から5分ほど歩くと路地を左へ曲がる。
ここだと案内されたのは石造りに黒い扉の店だった。
  
中へ入ると見覚えのある黒衣を纏った男が数人、客に交じって座っている。
フリードルの姿を見つけると皆傅かないまでも、目配せしながら挨拶をしているのが分かる。
皆エルの仲間に違いない。

席に着くと店の主人が直ぐに現れた。

「いらっしゃいませエル様。先日おいでの時には暫くお来しになれないと伺っておりましたが」

「ああ、事情が変わって暫く滞在することになった。私の友人達だ。食事はここに寄らせて貰うから顔を覚えておいてくれ」

「心得ております」

「食事は出来るものでいい。サビエルが来たらここに案内してくれ」

「畏まりました」

主人はエルの完結的な態度に的確に対応し、効率よく反応して行く。

暫くして出て来たのはハーブの香りの蒸し鶏と付け添えられた野菜に暖かいスープとふわふわの白いパンだった。
イシュラルでは卵やチーズは館で作ったりして良く食べていたが肉と言うものは近頃では中々口にする事がなかったので皆料理に堪能し、とても満足そうだった。

食事を終え食後に紅茶を飲んで寛いでいると、店に黒衣の男が入ってきた。
サングリアで会ったサビエルと言う男だ。
周囲を見渡し直ぐにフリードルに気付くと店の者の案内を断り直ぐにこちらへやって来る。
一礼し、お食事はお済で?と聞くと、フリードルを呼び出し店の隅で何やら話をはじめた。
話の途中でフリードルがかなり驚愕している様子が伺える。
暫くして話し終えるとこちらに向かって二人で戻って来た。

「すまない、急用ができた。サビエルが護衛についてくれるから帰るまで彼の指示に従ってくれ」

「サビエル、頼んだぞ」

そう告げるとサビエルは“はい”と傅き、フリードルは店の中にいた一人の黒衣の男に声をかけると一緒に店を出て行った。

サビエルはフリードルに言われた通り、席に一番近い柱の陰にずっと待機している。
絶え間なくこちらに注意を払いながら店内の様子を伺っている。
この様に監視されていると、紅茶もゆっくり落ち着いて飲めないが、3人とも流石にそれを口に出すことが出来なかった。

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~ Comment ~

NoTitle 

6章突入!
待ってたわ~~~v-238
早く出てこないかなぁ…^^

HANON.H様 

もう直ぐですよ^^
でも、次では本当の性格があまり垣間見れないのよね~(笑)
誰の事を言ってるのでしょうか!?(ふっふっ)
お楽しみに♪

NoTitle 

見られるのが仕事なのが女王の資質でもあるのですがね。
今から慣れておくのも必要だと思いますけどね。
今のメンバーは。
もし順調に進んでいくのであれば、いずれこれらのメンバーが国民から見られる立場の人になるのでしょうから。

LandM様 

今は出来るだけ人目に触れない方が良い状況なんです。
これから少しずつ明かされて行きますが決して恥ずかしいからとかそういう単純な理由ではありません。
全ては盗まれた仔馬の出生と、フリードルがエルと名乗って行動している組織、その長に関連しての事です。
まだ、この辺りでは謎の多い展開ですが、少しずつ明かされて行きますので楽しみにされていてください。
いつも有り難うございます^^
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