パウリンの娘

パウリンの娘《第26章4》

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アイスラントはベイズを東殿の内庭に誘い出すと憮然とした態度で言葉を投げ捨てた。

「剣、槍(ランス)、短剣、棍棒(メイス)何でもいいぞ。選べ。ああ、済まん。剣以外真面に使えぬのだったな」

「何だと!?」

突如突き付けられた言葉にベイズは怪訝な表情を浮かべた。
決して使えない訳では無い。実戦で使った事が無いだけだが、アイスラントにその様な言い訳は通用しないだろう。

「では、教えてやろう。そうだな、一番不得意だったのは槍(ランス)だったか?」

「何を言っている? 取引では無かったのか?」

ベイズにはアイスラントの取っている行動が理解できなかった。

「勿論取引だ。勝敗を決める上で、お前の歪んだ騎士としての心得を正してやる。元上官としてのよしみでな。有難く思え!」

挑発とも取れるような発言にベイズは平常心を保とうと必死だった。
ここで声を荒げては奴の思う壷だ。また、奴の術中に嵌ってしまう!!
必死に気を静めようと試みた。

「目上の者に対して随分な態度だな。私はお前に何を教えて貰うつもりも無い。地位としては私より少しばかり上についた事もあったが、お前のは所詮親の七光りだ。お前の実力などでは決してない!!」

元上官風を吹かせるひと回りも年下の者に、こうまで言われては我慢など出来よう筈も無かった。

「商談決裂だな。まぁ、良い。戦略術においてのお前の知能は認めてやってもいい。だが、私はそれにおいてもお前に劣っているとは思っては居ない。何故なら全てにおいて均衡のとれた実力を持った者の中でこそ、より吐出した力は発揮され有利に導かれると思っているからだ」

「私が負けるとでも言いたいのか!!」

不機嫌極まりない奴だ。

「お前がどうだと言うよりも、私は己が負ける気がしない。今日の事にしても、こちらは5名、お前の所は確実に三十名は下らない筈だ。それも卑怯なやり口で攻め入り結果はどうだ? 普通に考えてもお前に利がある筈ではないか。だが、その作戦こそがそもそもの間違えだ。我ら相手に少数気鋭では無く、人数に頼った策を立てた時点でお前に利は無くなった。2年前のお前ならば前者で挑んでいた筈だ。もう少し手応えがあると思っていたが、暫く生ぬるい風に曝され続けヤキが回ったと見える。それと、その考え方は止めた方が良い。負けると想定した物言いは、その時点で力をマイナスに導く」

「なっ・・・・・」

ぐうの音も出ない。
悔しさを押し殺し、怒りに満ちてベイズは奥歯を噛みしめた。

「良い面構えでだ。その気持ちを何故跳ね除けようと今まで足掻かなかった? 抱え込んだまま歪んだ道を歩む事がお前の正道か? あと一歩踏み出せていれば、お前はもっと違った形で高みを望めた筈なのだぞ」

「・・・・お前の指図等受けない!!」

「聞き入れる度量も無いか。お前の実力はある意味惜しいと思っていたのだが、どうやら私には手が負えない様だ。お前を救う手立てはもぅ見出せん」

アイスラントは、怪訝な面持ちながらも冷ややかな薄ら笑いを漏らしていた。

一つの偉業を成すならば、この様な者の存在は駒の一つとしてある意味必要だ。先を踏まえてこの者の利用価値を計ったつもりであったのだが、どうやらお門違いだったらしい。

「お前如きに同情される程、私は落ちぶれては居ない!!」

ついにベイズの堪忍袋の尾が切れた。

それはアイスラントにとっても決定的な一言だった。
もぅ未練はない。この者とは決して相容れる事等ありえない!

「分かった。無駄な話はこれで終わりにしてやる。では、そろそろお手並み拝見と行くか」

アイスラントの目がギラリと光った。

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~ Comment ~

NoTitle 

わお!
臨場感溢れる描写です~^^
そしてローレライが王宮に!
待ってたわよんv-238
続きが楽しみです!

涼音さん忙しいね(><)
体調気をつけてがんばってくださいね^^

はのん様 

ホントに!? そう言って頂けるとホントに嬉しいです^^/
臨場感溢れる描写を目指して、結局、毎日読み直しては手直ししてを繰り返した甲斐がありました^^
そういって頂けると苦労が報われます(ストックは減る一方だけど^^;)

そうなの。ローレライが傍まで来てます♪
会った時のゼロの反応が見もの!?(笑)

何かホントに忙しくて。。。今からUP大丈夫か?
まだUP分、今日これから見直しです。
何かこういう場面は不安がいっぱい。難しいです(苦笑)

有り難うございますm(^^)m
お互い体に気を付けて頑張りましょうね^^
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