パウリンの娘

パウリンの娘《第26章8》

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アイスラントは剣の根元を的確に捉えて強打すると、ベイズの剣を振り落とした。

“暗闇の中でも目が利くのか? そんな馬鹿な・・・・”

闇の中、強打された衝撃で痺れて疼く右手を擦っていると、突如何者からか胸ぐらを掴まれた。
更には喉元にも剣が突き付けられベイズは身動きが取れない。

「塗った毒薬は何だ!?」

「なっ、何を!!・・・・私は何も・・・・」

真相を突き付けられ、ベイズはガタガタと震えはじめた。

「今お前の喉元に突き刺している剣は誰の剣だと思う!?」

ベイズはハッとした。
額から冷ややかな汗がタラリと零れ落ちた。

「まっ、まさか・・・・」

「流石察しが良いな。これは先程お前の剣を打ち落とした時にすり替えたお前の剣だ。どうだ? 少しここに傷でもつけてみるか!?」

「やっ、やめてくれ!! ボっ、ボテイコの毒だ・・・・服用した訳では無いから、恐らく死ぬことは無い・・・・」

「お・そ・ら・く・だと!?」

アイスラントの地を這う様な低く、怒りに満ちた声に、最早ベイズは逆らう事など到底無理だった。

「ちっ、致死量には満たない・・・・。神経症状と痛みが伴う程度で何れ回復する筈だ。こっ、このような使い方は初めてだから・・・・ハッキリした事は言えんのだ!!」

「私の仲間を実験台にしたのか!!」

吐き捨てるように言葉を投げ捨てた後、直ぐに踵を返した。

「マチウス!! サビエルを連れて城を出ろ! 直ぐに処置を!!」

「はっ!!」

エルの寄こした密偵マチウスとは内庭に出て直ぐに一瞬視線が絡んだ。
アイスラントが月を見上げ視線で合図を送るとコクリと頷いた。
全ての状況を見極め、見事に松明の火を消してくれた。
持つべき者は、やはり先が読め、直ぐに行動の起こせる仲間だ。

「ベイズ、お前にはこのサビエルが無事城を出られるまでの囮になって貰う。二人が無事に城を脱出出来るよう手配しろ。事が確認出来れば、お前は解放してやる」

己の剣で脅されるとは、何と滑稽な姿だろう。

「わっ、分かった・・・・。おい、外まで送り届けろ」

ベイズは介添人の者に頼むと懇願していた。
何と言う情けない姿だろう。
こう言う上役の姿を見て呆れると言う事がこいつ等には無いのだろうか?

「妙な気を起こすなよ。マチウスが1刻を過ぎても戻らなければベイズの首は無いものと思え!」

「はっ、早くしろ!! とっとと行け!!」

ベイズは己が介添人に言葉を捲し立てた。

「ここまで来ると無様だな」

アイスラントは不敵な笑を浮かべると、そう呟いた。



※ボテイコ(架空)・・・・毒性を持つ魚です。毒の抽出した液体は10ml程度の服用で24時間以内に致死率94%

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