パウリンの娘

パウリンの娘《第26章10》

 ←パウリンの娘《第26章9》 →パウリンの娘《第26章11》
マチウスが時間道理に戻って来た時には既に勝敗は決していた。
ベイズは締め上げられ、介添人と称して付いて来た者以外は既に廊下や回廊部屋の中で倒れている。
切り倒された者にはサビエルと似たような中毒症状が出ており、その介護にはハビロードがあたっていた。
介添人をしていた人物は、以前ハビロードの配下に居た事のある者だと言う事が判明し、ハビロードの指示に従い命じられた薬草を手配したり、アイスラントの部屋で湯を沸かしたりと仲間の治療に当たってくれているハビロードに協力的だった。
夫人も倒れている者に水を飲ませたり、汗を拭いてやったりと介抱している。

「無様だな」

アイスラントが言葉を吐き捨てた。
項垂れるベイズに既に戦意は感じられなかった。

「私を如何する気だ!?」

「御足労だが、今日会議に出席される皆々にこの現状をこのまま見て頂く!」

「なっ!?」

「一目見れば押し入られ、我らが応戦した事は一目瞭然。これだけの人数だ。議会の時間までに口を利ける様になれば一人位事の惨状のきっかけとなった事について証言してくれる者も出て来るかもしれんな」

「・・・・・」

ベイズは悔しそうに顔を顰めて背けると、歯噛みした。


頃合いを見計らい、マチウスはエルから託された手紙をアイスラントに渡した。
それを手にしたアイスラントは開くより前にマチウスに声を掛けた。

「サビエルは?」

「はい。今セス様が治療に当たっておられます。恐らくは大丈夫かと・・・・」

「そうか・・・・」

その言葉に皆が胸を撫ぜ下ろした。

アイスラントはフリードルから託された手紙を開いた。
そこに書かれていた文面には驚愕の事実が記されてあり、その中でも一番驚いたのは母の件と、ローレライが傍まで来ていると言う事実だった。

「・・・・来ているのか?」

「はい。今セス様へ手伝いを申し出られて、サビエル様の介護をなさっています」

「・・・・そうか・・・・。来てしまったのか・・・・」

アイスラントは、あれ程約束はしたが、心の何処かでローレライは来るのではないかと予感していた。
フリードルは、全ては己の責任であり、ローレライに非は無いと告げていた。
戻り次第、如何様な処分でも受けると・・・・。

処分など出来よう筈も無い。
その状況であれば自分も結局はローレライに押されて連れて行く事になったであろう事は明確だった。

「ご苦労だったな。エルに伝えてくれ。感謝していると。以後もお前に判断を委ねると・・・・」

「はっ!!」

マチウスは一礼すると再びエルの許へ戻って行った。

夜空には満々の月が光を放ち照らしていた。
アイスラントはその月を眺め、今宵の幸運を感謝した。

良かったらポチッとお願い致します^^

にほんブログ村


総もくじ  3kaku_s_L.png パウリンの娘
総もくじ  3kaku_s_L.png 記憶の彼方とその果てに
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ&感謝
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【パウリンの娘《第26章9》】へ
  • 【パウリンの娘《第26章11》】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【パウリンの娘《第26章9》】へ
  • 【パウリンの娘《第26章11》】へ