パウリンの娘

パウリンの娘《第26章11》

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戻って来たマチウスに事の顛末を聞いたフリードルはアイスラントの寛大な言葉に無言で頷いた。
きっと分かって頂けると内心思ってはいたが、事ローレライ絡みになると今までの常識は当てはまらない事も有り得ると考えていた。
どの様な咎めも敢て受け入れるつもりでいたが、それは自分の驕りだった。
何があろうと本来公私混同されるような方では無いのだ。
だからこそ、これ程多くの元王宮騎士たちが王を見限り、彼の許に集い、信頼を寄せているのだ。
フリードルは浅はかな己の考えを恥じた。

“やはりあの方以外はありえない!”

パウリンの定めより以前から、フリードルは次の王たる人物はアイスラント・ゼロード・フォン・オードラル以外にありえないと思っていた。


2年前、フリードルが最初に我王を引き摺り下ろし、誰もが認める聡明な者を新王として迎えたいとの計画を聞いたのは、シザーレからだった。
返答に迷っていると、シザーレ微笑を浮かべた。

「あいつが・・・・、アイスラント自らが立たない事がそんなに不服か?」

思っていた事を直ぐに言い当てられてしまった。

「はい。趣旨に異論はございませんが、私にはオードラル閣下以外の方など考えられないのです」

恩師を敬愛してやまないフリードルらしい言葉に、シザーレは深いため息をつくと頭を掻いた。

「でもなぁ、あいつ自身がそれを望んでいないからなぁ‥‥。私も手を貸すからと提案したが断られた。王宮に閉じ込められるのは生に合わないらしい。まぁ、それにあいつは何より根っからの騎士だ。己が額づける主を欲っしている。その手の平の上で伸び伸びと騎士道を歩みたいらしい」

「・・・・あの方らしいお言葉ですが・・・・。では、推挙されるのは何方なのですか?」

「ザンゾール公爵だ」

結局、現時点では、前王弟殿下を考えていると告げられた。
我王を引き摺り降ろす事には賛成であったし、王位継承権から言えば確かにそれは順当な選出であった。
ザンゾール公爵は良識ある人物だ。確かに適任ではある。
否と唱える者は恐らく居ないであろう。
しかし、フリードルは即答出来なかった。

「計画自体には賛成です。ですが、私には納得できません」

シザーレは深いため息をついた。

「賛成だが、納得は出来ないか。・・・・お前もアイツに似て頑固だな」

「光栄です」

フリードルはニッコリ微笑んだ。

「他の奴らの様には行かないな」

そう呟くと、結局、その後シザーレは己の描く手の内を見せる事になる。
ザンゾール公を推挙はしているが、おそらく簡単には行かないであろう事。
子息の行いに問題がある点等をフリードルに話す事となる。
ともすれば恩師に玉座が転がりそうな状況を聞かされ、どの道、このまま行けば確実に国は崩壊する。その為の手立ては確実に打たなければならず、フリードルは結局シザーレの案にのったのだ。


“やっとここまで漕ぎ着けたのだ。何としてもアイスラント様を玉座に!!”

間もなく日が昇る。
フリードルは密文書を送った人物に会う為、陣を後にした。

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