パウリンの娘

パウリンの娘《第26章13》

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二人の紳士は気にする素振りも見せずに、無言で古びた冷たい椅子に腰を下ろした。
すると早速とばかりに口を開いたのはラストール男爵だった。

「手紙の主がフリードル殿であったと言う事は、現王政を正すべき推挙される前王の意志を継ぐべき正統なる者と言うのは宰相オードラル殿の御子息アイスラント殿と推察するがそれで宜しいのか!?」

男爵の洞察力は確かなものだ。かつて培われたものは衰える事無く流石としか言いようがない。

「はい。間違えございません」

フリードルはハッキリとそう答えた。

男爵はその事だけを確認すると異論は無いとその場で頷いた。

一方のミシガン伯は、少し困った様な面持ちだ。
恐らく意とする人物では無かったのだろうことは明らかだった。
だが、それは想定内の出来事で、この時点での多少の疑念は致し方ない事であると踏まえていた。

「ザンゾール公では無かったのか・・・・。いや、アイスラント殿も武勲に秀でており、人望も厚いと聞いてはおったが、いささかお若すぎるのではないか!? 若い者は何かと他のものに囚われやすいのではないのか?」

そして、一番恐れていたのはこの事だった。
何故年齢が近いと言うだけで我王などと同格と思われなければならないのか!?
国を貶めた王と同じ年頃と来れば、警戒心を持たれても致し方ないのかもしれないが、表面的な物に囚われて内面を否定されるのはフリードルにとって最も腹立たしい事であった。
これはそのような低次元な問題では無いのだ。そのよう理由で解されるのであれば聞き捨てならない。
現時点で若いからと言う理由で甘く見られる訳には行かないのだ。

「現ザラゾール王と同格と思われるのでしたら、この場でお帰り頂いても構いません。御足労をおかけして申し訳ありませんでした。この事は他言致しませんのでご安心ください。お帰りはこちらです」

スッとフリードルが立ち上がり、扉の取っ手に手を掛けると伯爵が慌ててそれを制した。

「いやいや、違うのだ。そう言う含む所がある訳では決して無い。気を悪くしたのならば謝る」

焦りを見せる伯爵に、フリードルはホッと胸を撫ぜ下ろした。
現時点でこのように低俗な意見を持たれては先へ等進むことは出来ない。

「そうですか?」

フリードルは何事も無かったかのように再び席に戻った。
伯爵は額に汗を滲ませホゥーとため息を付く。
これで牽制は出来た。おそらくもぅ若さや故にと疑念を抱くような低俗な話は出て来ないだろう。

「何方が就かれるかはともかく、私もこの現状を何とか打開したいと言う思いは強い。このままではこの国は後数年で立ち行かなくなる。いや、年内に増税にでもなれば間違いなく内乱がおき、他国から攻め入られる格好の場になる事は必須うだ。それを何としても打破したい。私は歴代の王が築かれたこの国を守りたいのだ。その力量がアイスラント殿にあるのならば異論はない」

伯爵から本心とも取れる言葉を聞き取れ、フリードルは胸を撫ぜ下ろした。
思う所は同じだ。きっと理解しあえるとこの時確信した。

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